絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
「色々話を聞きたいところだけど、すごくいい雰囲気のところ邪魔しちゃったみたいだし、また今度、ね?」
八重が透夜にウィンクする。透夜はなぜかきまりわるそうにしていた。彼も八重には弱いのだろうか。
「なんでこう俺たちの周りの人間は嵐のようにやってきて嵐のように去っていくのかね」
透夜は姉の薫子のことを言っているのだろう。美澄も想像して笑った。
「忙しい人が多いですよね」
「類は友をなんとかっていうし、まあおまえ自身も騒がしいしな」
「透夜さんはそこに入っていないんですか?」
「俺は医者として忙しい」
透夜はしれっと大人ぶったことを言う。
「自分だけ格好つけちゃって」とじゃれてから、美澄は遠ざかって行った八重と冴子の姿を見ながら小さくため息をつく。
「偽装していること、これからも気をつけないといけないわけですね」
「俺は本当に結婚したと思って、おまえのことそういうつもりで紹介しているから、うしろめたさみたいなのはないけどな」
「……私はそういうわけには」
「わかってるよ。お試しってことは」
せっかくのデートの余韻に水を差してしまっただろうか。そう思ったのは杞憂だった。
透夜が美澄の手を握る。帰りも離してくれる気はないみたいだ。
この手に握られるのは今日何度目だろうか。離れているよりも握ってもらえている方が安心するようになってきたのは、デートマジックだろうか。
そんなことをぼんやりと考えていた。
帰りもまた電車に乗り、駅を出たあとはスーパーとワインショップにそれぞれ立ち寄った。マンションに到着し、なんの気なしに空を見上げると、まんまるに満ちた月が藍色の闇に浮かんでいた。
「どうした?」
「オムライス食べたくなっちゃったなぁって」
行き当たりばったりの美澄の発言に、透夜は呆れたように笑った。
「ワインに合うように、ビーフシチューにするとか言ってなかったか?」
「じゃあ、オムビーフシチューはどうですか? カットしたチーズとバジルを乗せて」
「美味そうだな。おまえに任せるよ。手が必要なら言ってくれ」
透夜はそう言い、美澄が持っていたワインのショッパーを手に引っかけた。
荷物を全部持ってくれる紳士かとおもいきや、
「さっきからぷらぷらと振り回す勢いで、あぶなっかしい」
と、ため息をつく。
「透夜さんって心配性ですよね、けっこう」
八重が透夜にウィンクする。透夜はなぜかきまりわるそうにしていた。彼も八重には弱いのだろうか。
「なんでこう俺たちの周りの人間は嵐のようにやってきて嵐のように去っていくのかね」
透夜は姉の薫子のことを言っているのだろう。美澄も想像して笑った。
「忙しい人が多いですよね」
「類は友をなんとかっていうし、まあおまえ自身も騒がしいしな」
「透夜さんはそこに入っていないんですか?」
「俺は医者として忙しい」
透夜はしれっと大人ぶったことを言う。
「自分だけ格好つけちゃって」とじゃれてから、美澄は遠ざかって行った八重と冴子の姿を見ながら小さくため息をつく。
「偽装していること、これからも気をつけないといけないわけですね」
「俺は本当に結婚したと思って、おまえのことそういうつもりで紹介しているから、うしろめたさみたいなのはないけどな」
「……私はそういうわけには」
「わかってるよ。お試しってことは」
せっかくのデートの余韻に水を差してしまっただろうか。そう思ったのは杞憂だった。
透夜が美澄の手を握る。帰りも離してくれる気はないみたいだ。
この手に握られるのは今日何度目だろうか。離れているよりも握ってもらえている方が安心するようになってきたのは、デートマジックだろうか。
そんなことをぼんやりと考えていた。
帰りもまた電車に乗り、駅を出たあとはスーパーとワインショップにそれぞれ立ち寄った。マンションに到着し、なんの気なしに空を見上げると、まんまるに満ちた月が藍色の闇に浮かんでいた。
「どうした?」
「オムライス食べたくなっちゃったなぁって」
行き当たりばったりの美澄の発言に、透夜は呆れたように笑った。
「ワインに合うように、ビーフシチューにするとか言ってなかったか?」
「じゃあ、オムビーフシチューはどうですか? カットしたチーズとバジルを乗せて」
「美味そうだな。おまえに任せるよ。手が必要なら言ってくれ」
透夜はそう言い、美澄が持っていたワインのショッパーを手に引っかけた。
荷物を全部持ってくれる紳士かとおもいきや、
「さっきからぷらぷらと振り回す勢いで、あぶなっかしい」
と、ため息をつく。
「透夜さんって心配性ですよね、けっこう」