絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
深く唇を求められそうになり、美澄は思わず透夜の胸を押し返した。
「……っずるいですよ」
「食前酒、ごちそうさん。これ以上はフライパンで殴られそうだ」
透夜は意地悪な顔をしてそう言い、バスルームへと逃げて行く。
「もうっ。おかわりはなしですからね」
その後、美澄はすっかり動揺し、オムビーフシチューのつもりがオムトマトシチューになってしまい、ますます透夜にからかわれることになってしまった。
賑やかな攻防戦の末、ようやくダイニングテーブルを囲んで、二人は乾杯する。香ばしいバジルの香りと、ほのかなワインの芳醇な香りが交わり、食欲をそそる。
「オムトマトシチュー、さっぱりして美味しいな」
さっそく透夜は美味しそうに食べてくれる。相変わらず彼の食べっぷりは好ましい。
「水っぽくなるかなぁと思ったけど、案外いいですね」
美澄も一口頬張ってから、うんうんと呻った。
「やっぱり、おまえの手料理が最高だな」
「さっきのチャラにしませんからね」
「お試し期間に何もしないんじゃ、発展は見込めないだろ」
「だからって、いきなりの夜這いはダメですよ?」
念には念を入れ、美澄は忠告する。しかし透夜はしれっと聞き流す。
「はいはい。じゃ、おやすみのキスは?」
「それは……」
「また、顔が赤くなってるぞ」
「もう、からかうか食べるかどっちかにしてください」
「どっちもやめられないな」
透夜は楽しそうに笑い、さっき美澄が禁止したというのに、遠慮なくおかわりを申し出た。仕方ないな、と言いながら、美澄は嬉しさを隠しきれず、彼に応じてしまうのだった。
(夫婦がこんな感じだったら、これからも楽しくやっていけるのかな)
……そんな風に思いながら。
***
さらに二週間が過ぎる頃には、外はすっかり新緑の木々に囲まれ、空は青々として心地のいい初夏の季節へと移ろっていく。
うまくやっていけるのか心配だった契約結婚だったけれど、近頃は、なんとなく生活のリズムだとか諸々の好みだとか、『夫婦のカルテ』を開いたりわざわざ相手に聞いたりしなくてもわかるようになってきた。
とはいえ、毎日ずっと一緒に過ごしたわけではない。
「……っずるいですよ」
「食前酒、ごちそうさん。これ以上はフライパンで殴られそうだ」
透夜は意地悪な顔をしてそう言い、バスルームへと逃げて行く。
「もうっ。おかわりはなしですからね」
その後、美澄はすっかり動揺し、オムビーフシチューのつもりがオムトマトシチューになってしまい、ますます透夜にからかわれることになってしまった。
賑やかな攻防戦の末、ようやくダイニングテーブルを囲んで、二人は乾杯する。香ばしいバジルの香りと、ほのかなワインの芳醇な香りが交わり、食欲をそそる。
「オムトマトシチュー、さっぱりして美味しいな」
さっそく透夜は美味しそうに食べてくれる。相変わらず彼の食べっぷりは好ましい。
「水っぽくなるかなぁと思ったけど、案外いいですね」
美澄も一口頬張ってから、うんうんと呻った。
「やっぱり、おまえの手料理が最高だな」
「さっきのチャラにしませんからね」
「お試し期間に何もしないんじゃ、発展は見込めないだろ」
「だからって、いきなりの夜這いはダメですよ?」
念には念を入れ、美澄は忠告する。しかし透夜はしれっと聞き流す。
「はいはい。じゃ、おやすみのキスは?」
「それは……」
「また、顔が赤くなってるぞ」
「もう、からかうか食べるかどっちかにしてください」
「どっちもやめられないな」
透夜は楽しそうに笑い、さっき美澄が禁止したというのに、遠慮なくおかわりを申し出た。仕方ないな、と言いながら、美澄は嬉しさを隠しきれず、彼に応じてしまうのだった。
(夫婦がこんな感じだったら、これからも楽しくやっていけるのかな)
……そんな風に思いながら。
***
さらに二週間が過ぎる頃には、外はすっかり新緑の木々に囲まれ、空は青々として心地のいい初夏の季節へと移ろっていく。
うまくやっていけるのか心配だった契約結婚だったけれど、近頃は、なんとなく生活のリズムだとか諸々の好みだとか、『夫婦のカルテ』を開いたりわざわざ相手に聞いたりしなくてもわかるようになってきた。
とはいえ、毎日ずっと一緒に過ごしたわけではない。