絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
 狙った獲物には容赦なく、心を許した恋人にはとことん甘く。絶え間ない情熱を注ぐ。
逞しい彼の止めどない求愛に、美澄は波打つようにベッドの上で何度も跳ねた。
「待って」
 美澄は悔しいけれど、思わず声を上げてしまった。息苦しいけれど、それは心地よく甘い責め苦だ。自分がだんだん淫らに作り替えられていくみたい。身悶えるにつれ、汗が背中を流れていく。
「……待たない、やめないって言ったろ」
 強く腰を引き寄せられ、とうとう下肢に甘い予感が伝わってくる。美澄は唇を震わせた。それはあっけなく、けれど待ちわびていた刹那だった。
「あ、透夜…さっ」
 気遣わしげな動きは最初だけ。無遠慮に、縦横無尽に、彼は愛そうと動く。
「あ、待って、深い……っ」
 こんなふうに激しく交わった経験なんてない。気持ちよくて頭が真っ白になる。こんな切羽詰まった昂りを知らない。
「……美澄」
 耳元で囁かれ、ますます高みへと誘われる。彼の低い声が少し乱れるのが嬉しくて、美澄もまた彼の名前を呼んで、幾度となく甘い波に揺さぶられ、果てを探した。
「あ、――っ透夜っ」
 いつの間にか互いに求め合うことだけに没頭して、光の先へ昇り詰めていた。
 ――しばらく呼吸が整うまで、密着したまま、唇をなだめ合っていた。
 クールでドライに見えた男の荒々しい情熱に、今さらながら照れて、美澄はその場で騒ぎたくなった。それを察したのか否か、透夜は美澄から離れ、しばらくしたのち腕枕をしてくれる。
「案外、落ちるのが早かったな」
 ちょっとした嫌味のつもりか、透夜が美澄をからかうように見た。彼女の頬は火照ったまま、うっすらとまた色づいていく。
「あのね、落城したみたいに、言わないでもらえません? ぐいぐい迫ってきたのはそっちなのに」
 美澄はむうっと膨れ、透夜の逞しい胸板に額をぐいっと押し付ける。彼はくすぐったそうに少しだけ引くと、彼女の頭をぽんとやさしく撫でた。
「ああは言ったが、おまえが本気で拒めば引くつもりだった。あれだけ、俺のことを罵倒していたわけだしな」
「うっ……そんな前のことはもういいっこなしですよ。男女の関係なんて、そ、そういうものじゃないですか」
「まあ、俺は、後悔していないけどな」
 透夜はそう言い、美澄の額にキスを落とす。本当に、あのときはこうなるなんて思いもしなかった。
「こうなってよかったんでしょうか」
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