絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
頻繁に妻が病院に押しかけてきたら、さすがに迷惑だろうと思い、躊躇ってはいたのだけれど。
(ちょっとだけ様子を見るくらいなら、いいよね)
美澄は透夜の顔を思い浮かべながら、ロビーから外科病棟の方へと移動する。
不意に、手首の内側にキスマークが残っているのを見て、昨晩のことを思い出してしまい、頬に熱がこみ上げてくる。手首以外にもあちこちマーキングされていることは、シャワーを浴びたときに確認して文句を言ったけれど、悪びれない彼に迫られて、二度目を求められ……応じてしまう自分も大概だ。
一線を超えてから二人は肌を重ねる回数が多くなった。一緒に食事をするのが楽しいし、なにげない会話をするのも、ちょっとしたスキンシップも、心を満たしてくれる。
この頃はお風呂に一緒に入ることもあった。きっかけは強引な彼からの誘いではあったが、じゃれ合いながら触れ合う時間は幸せだし、大切に愛されることで女性としての自信もつく。透夜の情熱的な求め方や、彼の真剣な表情からは、想われていることが伝わってくるのが嬉しくて、美澄は前よりもずっと心を開いて、透夜のことを意識するようになったし、大事に思うようになっていた。
今では、ちょっとでも顔が見えないと寂しいし、帰ってきたら抱きつきたいくらいの気持ちだってある。いつの間にか――恋をしていた。
そんな幸せを感じつつも、透夜がたまにうなされていることが美澄には引っかかっていた。昨日も、透夜は朝方にうなされていた。寝入ったかと思えば、苦しそうな顔をして、額に汗を浮かべていたのだ。
今日、病院に来たのは、何も浮かれて夫の顔を見にきたわけではない。彼のことが心配だったからだった。
(怖い夢でも見ているのかな……)
悪夢を見ることは誰でも経験があるかもしれない。けれど、悪夢を繰り返し見るときは、精神的なストレスが解決されていない可能性が高い、という話を保育士のときに臨床心理士を招いたセミナーで聞いたことがあった。
救えない命があると硬い表情で吐露した透夜のことがぼんやりと思い出された。医師は重責と人の死と向き合う仕事でもある。
ショートスリーパーなのは職業柄だと言っていたことはその通りなのかもしれないけれど、彼の場合はそれだけではなく、悪夢による中途覚醒のような不眠症の類も患っているようなのだ。
(ちょっとだけ様子を見るくらいなら、いいよね)
美澄は透夜の顔を思い浮かべながら、ロビーから外科病棟の方へと移動する。
不意に、手首の内側にキスマークが残っているのを見て、昨晩のことを思い出してしまい、頬に熱がこみ上げてくる。手首以外にもあちこちマーキングされていることは、シャワーを浴びたときに確認して文句を言ったけれど、悪びれない彼に迫られて、二度目を求められ……応じてしまう自分も大概だ。
一線を超えてから二人は肌を重ねる回数が多くなった。一緒に食事をするのが楽しいし、なにげない会話をするのも、ちょっとしたスキンシップも、心を満たしてくれる。
この頃はお風呂に一緒に入ることもあった。きっかけは強引な彼からの誘いではあったが、じゃれ合いながら触れ合う時間は幸せだし、大切に愛されることで女性としての自信もつく。透夜の情熱的な求め方や、彼の真剣な表情からは、想われていることが伝わってくるのが嬉しくて、美澄は前よりもずっと心を開いて、透夜のことを意識するようになったし、大事に思うようになっていた。
今では、ちょっとでも顔が見えないと寂しいし、帰ってきたら抱きつきたいくらいの気持ちだってある。いつの間にか――恋をしていた。
そんな幸せを感じつつも、透夜がたまにうなされていることが美澄には引っかかっていた。昨日も、透夜は朝方にうなされていた。寝入ったかと思えば、苦しそうな顔をして、額に汗を浮かべていたのだ。
今日、病院に来たのは、何も浮かれて夫の顔を見にきたわけではない。彼のことが心配だったからだった。
(怖い夢でも見ているのかな……)
悪夢を見ることは誰でも経験があるかもしれない。けれど、悪夢を繰り返し見るときは、精神的なストレスが解決されていない可能性が高い、という話を保育士のときに臨床心理士を招いたセミナーで聞いたことがあった。
救えない命があると硬い表情で吐露した透夜のことがぼんやりと思い出された。医師は重責と人の死と向き合う仕事でもある。
ショートスリーパーなのは職業柄だと言っていたことはその通りなのかもしれないけれど、彼の場合はそれだけではなく、悪夢による中途覚醒のような不眠症の類も患っているようなのだ。