絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
じっと見つめてくる服部の瞳は、なにもかも丸裸にしてしまうようだ。鋭く目を細められ、美澄は訥(とつ)々(とつ)と言い訳をするしかなくなってしまう。
「そ、それは、お見合いの件があったからで……」
その先がうまく紡げないでいると、服部は追い詰めるように言葉を重ねてきた。
「そうだとしたら、なおさら婚約して結婚してって、段階を踏むと思ったんだ。つまり……君たちが一緒にいるのは、ただ、形式上のことなんじゃないの」
「どうして、そんなことをおっしゃるんですか」
返答に窮した美澄は、問い返すことしかできなかった。
「違うのかな?」
射貫くような視線を向けられ、美澄は頬を硬くする。
「服部先生がわざわざそこまで気にする必要ありますか?」
焦るあまりに、つい強い口調で言い返してしまう。
すると、服部は彼女を憐れむように眉を下げた。
「君はいい子だね。素直で嘘がつけない。それに、やさしいね」
「私はそんなんじゃ……」
「いい子だよ。だから、心配になって今日、声をかけたんだ。君が、あの子に似てるから」
服部は遠い目をして言った。
「え、あの子って……」
「あいつの幼なじみの女の子に雰囲気がよく似ているんだ」
「幼なじみ……」
何を言われているのかよくわからない。何も知らない。
ただ、だんだんと不安な感情だけが渦を巻いていく。いやな予感がしてきた。
だめ、それ以上は踏み込んだらいけない。聞きたくはない。
その予感は抗うまもなく的中することになる。
「だから、東雲は君を選んだんじゃないかな」
服部が決定的な言葉を言い放った。
「………」
頭を思い切り鈍器で殴られた気分だった。息ができなくなる。まるで、初めて透夜に出逢った、怪我をしたときみたいに。彼に愛してもらった古傷のあたりが今さらずきずきとしてくる。
何も知らない――聞いていない。
契約結婚のときに、隠し事をしないという項目はなかった。美澄に後ろめたいようなことはなかったし、透夜を追及するような考えも浮かばなかった。
ただ、振り返ってみれば、不自然ではあった。彼が結婚を早くしたがっていたのは何故なのか。跡継ぎ問題のことは関係ないらしいのに。
美澄のことを気にいったと言った彼の言葉も、あまりに性急だった。柊のお世話係の件も、まるで用意していたかのような展開で――否、用意されていたのだとしたら?
「そ、それは、お見合いの件があったからで……」
その先がうまく紡げないでいると、服部は追い詰めるように言葉を重ねてきた。
「そうだとしたら、なおさら婚約して結婚してって、段階を踏むと思ったんだ。つまり……君たちが一緒にいるのは、ただ、形式上のことなんじゃないの」
「どうして、そんなことをおっしゃるんですか」
返答に窮した美澄は、問い返すことしかできなかった。
「違うのかな?」
射貫くような視線を向けられ、美澄は頬を硬くする。
「服部先生がわざわざそこまで気にする必要ありますか?」
焦るあまりに、つい強い口調で言い返してしまう。
すると、服部は彼女を憐れむように眉を下げた。
「君はいい子だね。素直で嘘がつけない。それに、やさしいね」
「私はそんなんじゃ……」
「いい子だよ。だから、心配になって今日、声をかけたんだ。君が、あの子に似てるから」
服部は遠い目をして言った。
「え、あの子って……」
「あいつの幼なじみの女の子に雰囲気がよく似ているんだ」
「幼なじみ……」
何を言われているのかよくわからない。何も知らない。
ただ、だんだんと不安な感情だけが渦を巻いていく。いやな予感がしてきた。
だめ、それ以上は踏み込んだらいけない。聞きたくはない。
その予感は抗うまもなく的中することになる。
「だから、東雲は君を選んだんじゃないかな」
服部が決定的な言葉を言い放った。
「………」
頭を思い切り鈍器で殴られた気分だった。息ができなくなる。まるで、初めて透夜に出逢った、怪我をしたときみたいに。彼に愛してもらった古傷のあたりが今さらずきずきとしてくる。
何も知らない――聞いていない。
契約結婚のときに、隠し事をしないという項目はなかった。美澄に後ろめたいようなことはなかったし、透夜を追及するような考えも浮かばなかった。
ただ、振り返ってみれば、不自然ではあった。彼が結婚を早くしたがっていたのは何故なのか。跡継ぎ問題のことは関係ないらしいのに。
美澄のことを気にいったと言った彼の言葉も、あまりに性急だった。柊のお世話係の件も、まるで用意していたかのような展開で――否、用意されていたのだとしたら?