絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
「このまま、離したくないって言ったら?」
服部は握った手に力を込めた。簡単には離してくれなさそうだ。
「服部先生、誤解しないでってさっきレストランに入る前に言ってましたよね」
「結婚していないなら問題はないよね」
「そうだとしても……」
美澄が反論をすることで、否応なしに契約結婚を認めたことになってしまった。
しかし、服部は確信をもっている。取り繕っても無駄かもしれない。
美澄の身体からするりと力が抜けていく。
「過去に囚われたまま忘れられないなんていやじゃないか? 君が本気で溺れる前に、医者としては助けたいって思うんだけどな」
「……」
本気で溺れる前に――?
「あいつとはもう寝たの? まあ、本気じゃなくても抱くことくらいはできるからね」
とことん意地が悪い。いつもなら頬をひっぱたくくらいわけないのに。ただ堪えるしかできない。
「……っ」
「大丈夫。僕が忘れさせてあげるよ。深入りする前に、あいつからは離れた方がいい」
服部の指が指の間に絡まる。
美澄の思考はそこから先の結末を見ることを拒んだ。
「一体ここで何やってる」
突然、後方から硬い口調に咎められ、美澄はびくりと戦慄いた。
振り返ると、息を切らしてやってきた透夜の姿があった。
「透夜さん、なんで」
透夜の視線が美澄と服部の手元へと動く。
美澄はとっさに服部から離れた。服部はやれやれと身を正す。
「ここのホテルの上にいた。セミナーに参加した帰りに、外から二人を見かけたんだ」
冷淡な口調で言う透夜に対し、服部は事も無げに頷いた。
「ああ、そうだ。ここのホテルだったな。今日だったっけ。お疲れ」
「白々しい。おまえはわざとここに美澄を連れてきたな」
詰め寄る透夜に、服部は物怖じする気配もない。そればかりか――。
「察しがいいね。おまえに後ろめたいことがあるから?」
服部は穏やかな笑みを浮べ、透夜を挑発するように問いかけた。
「何が言いたいんだ。服部」
「さあね。思い当たることがあるんじゃないか。彼女の顔を見たら」
余計なことを言ってしまわないか、美澄はハラハラと見守るしかできない。
「美澄、これ以上こいつの口車に乗せられるな。悪趣味な男は放っておいて、帰るぞ」
苛立ちを隠しきれない様子で、透夜が美澄の腕をつかむ。美澄は慌てて立ち上がった。
服部は握った手に力を込めた。簡単には離してくれなさそうだ。
「服部先生、誤解しないでってさっきレストランに入る前に言ってましたよね」
「結婚していないなら問題はないよね」
「そうだとしても……」
美澄が反論をすることで、否応なしに契約結婚を認めたことになってしまった。
しかし、服部は確信をもっている。取り繕っても無駄かもしれない。
美澄の身体からするりと力が抜けていく。
「過去に囚われたまま忘れられないなんていやじゃないか? 君が本気で溺れる前に、医者としては助けたいって思うんだけどな」
「……」
本気で溺れる前に――?
「あいつとはもう寝たの? まあ、本気じゃなくても抱くことくらいはできるからね」
とことん意地が悪い。いつもなら頬をひっぱたくくらいわけないのに。ただ堪えるしかできない。
「……っ」
「大丈夫。僕が忘れさせてあげるよ。深入りする前に、あいつからは離れた方がいい」
服部の指が指の間に絡まる。
美澄の思考はそこから先の結末を見ることを拒んだ。
「一体ここで何やってる」
突然、後方から硬い口調に咎められ、美澄はびくりと戦慄いた。
振り返ると、息を切らしてやってきた透夜の姿があった。
「透夜さん、なんで」
透夜の視線が美澄と服部の手元へと動く。
美澄はとっさに服部から離れた。服部はやれやれと身を正す。
「ここのホテルの上にいた。セミナーに参加した帰りに、外から二人を見かけたんだ」
冷淡な口調で言う透夜に対し、服部は事も無げに頷いた。
「ああ、そうだ。ここのホテルだったな。今日だったっけ。お疲れ」
「白々しい。おまえはわざとここに美澄を連れてきたな」
詰め寄る透夜に、服部は物怖じする気配もない。そればかりか――。
「察しがいいね。おまえに後ろめたいことがあるから?」
服部は穏やかな笑みを浮べ、透夜を挑発するように問いかけた。
「何が言いたいんだ。服部」
「さあね。思い当たることがあるんじゃないか。彼女の顔を見たら」
余計なことを言ってしまわないか、美澄はハラハラと見守るしかできない。
「美澄、これ以上こいつの口車に乗せられるな。悪趣味な男は放っておいて、帰るぞ」
苛立ちを隠しきれない様子で、透夜が美澄の腕をつかむ。美澄は慌てて立ち上がった。