絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
「明るい性格でお話好きで、ちょうど孫みたいな年だったからか、一緒の病室のおじいちゃんもにこにこしてて、どんどん元気になっていって……。それを見たら、透夜ビビっときたらしいのよ――それが、ひとめぼれの真実」
 薫子はそこまで言うと、美澄に微笑みかけた。
「あのとおり愛想もへったくれもない可愛くない男でしょう? 私、服部から透夜の様子を聞いて、八重さんに相談したの。その時、八重さんと美澄ちゃんが深くかかわりがあることがわかって、そこからお見合い大作戦が生まれて、運命の出逢いのできあがりっていうわけ」
 薫子は透夜の姉なのだから、院長の知り合いという八重と通じているのも不思議なことではない。
 けれど、まさかそんなことになっていたなんて。
「し、知らなかった。じゃあ、あのお見合いは……仕組まれたことだったんですか」
「まあ、きっかけを作っただけよ。それをどうするかは透夜次第だもの。美澄ちゃんは何も知らないわけだから」
 美澄は改めて八重からいきなり縁談を持ち掛けられたことを思い返していた。
 あまりにも突然のことだったし、透夜がやたら強引に話を進めてきたのはそういうことだったと思えば、腑に落ちる。
「はぁ……」
 幼なじみの女の子のことで頭がいっぱいになっていた美澄は、突然の情報にかくりと脱力する。
「透夜がどんな顔をして君を待って、ポーカーフェイス決めていたんだろうと想像すると楽しくて笑っちゃうね」
 服部がふっと噴き出す。
「服部先生は知っていたんですね?」
 美澄は恨めしい目で服部を見る。
「いや。それからすぐに結婚することになったって聞いて、きみはあいつにいい印象を持っていなかったようだし、あまりにもうまくいきすぎじゃないかと、ちょっと引っかかっていてね。薫子に探りを入れたあと、君にかまをかけたつもりだったんだけど、あの晩……君の表情でピンときたんだ。二人は本当に結婚したわけじゃなく、仮初の関係なんだろうなってね。まあ、ああ見えて慎重なところがある、あいつらしいよ」
「まったく。うまくいきかけていたのに、余計なことして拗らせちゃったんだから、しょうもない」
 薫子が服部を睨みつけると、服部は肩を竦めた。
「うん。それは反省してます。この間は、本当にごめんね」
「ひょっとして、わざわざそれを伝えに来てくれたんですか?」
 薫子と服部は揃って頷く。
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