絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
■節タイトル
6 好きだよ
■本文
翌日の夕方、フレンチレストラン、porte(ポルト)-bonheur(ボヌール)の前まで行くと、美澄はいったん立ち止まり、深呼吸する。
あのときは何がなんだかわからないうちにお見合いに向かうことになって、妙なドキドキ感と緊張でふわふわしていた。今日は別の意味で緊張している。
やり直しがしたいと彼が言っていたので、美澄はあのときと同じ服を着ていた。そして、あの日と同じように美澄は案内係に声をかけた。
「――真下です。東雲透夜の名前で予約してあるかと思うのですが」
「真下、美澄様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました。どうぞ」
まるでタイムリープしたみたいに不思議な気分を抱きつつ、美澄は案内係についていく。
あの日と同じ席に透夜は座っていた。
けれど、今はあのときはまったく違う感情がここにある。ほんの二ヶ月くらい前の話なのに、もう随分前のことのように感じるくらい、彼への想いは変化していた。
同じように彼も――。
美澄を目にした途端、やさしく微笑んだ。
初対面のときにそっけなかった彼とは大違いだ。時間はちゃんと動いている。そんなふうに美澄は実感する。
「待ってた」
「来ちゃいました」
お互い照れくさいからか言葉少なく、そのまま着席する。しかし、そわそわしているのは、透夜の方だったかもしれない。だから、美澄は反撃の隙を狙っていた。
「美澄、今夜は、おまえにちゃんと話をしようと思ってる」
「はい。聞きたいと思います」
戦に挑むような面持ちで告げると、透夜に緊張の色が見えた。彼の表情が硬くなる。それを見届けてから、美澄は先に口を開いた。
「……っていっても、残念なことに、色々聞いちゃったんですけれどね」
美澄が言うと、透夜は狼狽えていた。
「は? 色々って……誰に」
「透夜さんが、実は私にひとめぼれしたっていう話とか、裏で仕組まれていた、おせっかいなお見合いの話とか……薫子さんと、服部先生に」
美澄は指折り数えながら、薫子と服部のことを思い浮かべた。
「はぁ……あのふたり。余計なことを」と、予想していたように透夜は項垂れた。
6 好きだよ
■本文
翌日の夕方、フレンチレストラン、porte(ポルト)-bonheur(ボヌール)の前まで行くと、美澄はいったん立ち止まり、深呼吸する。
あのときは何がなんだかわからないうちにお見合いに向かうことになって、妙なドキドキ感と緊張でふわふわしていた。今日は別の意味で緊張している。
やり直しがしたいと彼が言っていたので、美澄はあのときと同じ服を着ていた。そして、あの日と同じように美澄は案内係に声をかけた。
「――真下です。東雲透夜の名前で予約してあるかと思うのですが」
「真下、美澄様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました。どうぞ」
まるでタイムリープしたみたいに不思議な気分を抱きつつ、美澄は案内係についていく。
あの日と同じ席に透夜は座っていた。
けれど、今はあのときはまったく違う感情がここにある。ほんの二ヶ月くらい前の話なのに、もう随分前のことのように感じるくらい、彼への想いは変化していた。
同じように彼も――。
美澄を目にした途端、やさしく微笑んだ。
初対面のときにそっけなかった彼とは大違いだ。時間はちゃんと動いている。そんなふうに美澄は実感する。
「待ってた」
「来ちゃいました」
お互い照れくさいからか言葉少なく、そのまま着席する。しかし、そわそわしているのは、透夜の方だったかもしれない。だから、美澄は反撃の隙を狙っていた。
「美澄、今夜は、おまえにちゃんと話をしようと思ってる」
「はい。聞きたいと思います」
戦に挑むような面持ちで告げると、透夜に緊張の色が見えた。彼の表情が硬くなる。それを見届けてから、美澄は先に口を開いた。
「……っていっても、残念なことに、色々聞いちゃったんですけれどね」
美澄が言うと、透夜は狼狽えていた。
「は? 色々って……誰に」
「透夜さんが、実は私にひとめぼれしたっていう話とか、裏で仕組まれていた、おせっかいなお見合いの話とか……薫子さんと、服部先生に」
美澄は指折り数えながら、薫子と服部のことを思い浮かべた。
「はぁ……あのふたり。余計なことを」と、予想していたように透夜は項垂れた。