絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
さっきまで曇り空だったが、とうとう雨が降ってきたらしい。
「そういえば、服部先生が――」
雨降って地固まるって言っていましたよ――まで口にすることはできなかった。
振り向くと、ぱっと傘が開く音がしたかとおもえば、透夜の唇に言葉を封じられていたのだ。
「プロポーズのあとで……他の男の名前を出すなんて無粋なことはするなよ」
唇を少し離してから、独占欲の固まりをぶつけるような顔をして、彼は言った。
驚いた美澄の顔を眺めつつ、透夜はふっと囁く。
「雨の日はいいな。いつでもキスしたくなったらこうしてキスできる。晴れの日も折りたたみ傘くらいは持ち歩くことにしようか」
ふたりきりの傘というカーテンの中、美澄は照れながらも透夜を見つめる。そして、彼のことを気にかけた。
「雨の前の日、眠れなくなることがあったんですね」
「ああ、たまにな」
「今は、大丈夫ですか?」
「おまえがいてくれるから、癒されてるよ」
「もう、私なしではダメな体になったってことですね?」
美澄が茶化すように言うと、透夜は微かに頬を赤くして押し黙ってから、彼女の唇を指先でなぞった。
「おまえの方こそ、俺なしじゃダメな体になってるだろ」
「自覚はありますよ」
今だって彼に抱かれたい、愛されたいという欲求がこみ上げてくるのだ。
「自覚があるようなら何より。まったく。煽る天才というか……おまえのそういう素直さが、俺はたまらない気持ちになるんだ」
軽口を叩き合いながらも、お互いの気持ちはちゃんと向き合っている。
今度はどちらからともなく唇を重ねる。誰も見ていない傘の中だと思うと、一度きりじゃ足りない欲求が抑えきれず、そっと唇を啄みながら、やがて夢中で何度もキスを交わした。
苦しくなって離れると、透夜が美澄の耳に唇を寄せて囁く。
「家に着くまで待てない」
耳朶を食まれ、首筋に唇を這わせられ、美澄はびくりとする。
「……! だ、だめです。さすがに外でそんなことできませんよ」
慌てて透夜の胸を押し返すと、「ふっ」と彼は笑った。
「まったく、ムードもへったくれもないな。言葉通りにとって、じたばたするんだから」
「そうやって、なんか子ども扱いするようなところありますよね」
顔を赤らめた美澄が首筋を手で押さえつつ透夜を軽く睨むと、彼はわざと美澄の髪をくしゃりと撫でた。妹にでもそうするかのように。
「そういえば、服部先生が――」
雨降って地固まるって言っていましたよ――まで口にすることはできなかった。
振り向くと、ぱっと傘が開く音がしたかとおもえば、透夜の唇に言葉を封じられていたのだ。
「プロポーズのあとで……他の男の名前を出すなんて無粋なことはするなよ」
唇を少し離してから、独占欲の固まりをぶつけるような顔をして、彼は言った。
驚いた美澄の顔を眺めつつ、透夜はふっと囁く。
「雨の日はいいな。いつでもキスしたくなったらこうしてキスできる。晴れの日も折りたたみ傘くらいは持ち歩くことにしようか」
ふたりきりの傘というカーテンの中、美澄は照れながらも透夜を見つめる。そして、彼のことを気にかけた。
「雨の前の日、眠れなくなることがあったんですね」
「ああ、たまにな」
「今は、大丈夫ですか?」
「おまえがいてくれるから、癒されてるよ」
「もう、私なしではダメな体になったってことですね?」
美澄が茶化すように言うと、透夜は微かに頬を赤くして押し黙ってから、彼女の唇を指先でなぞった。
「おまえの方こそ、俺なしじゃダメな体になってるだろ」
「自覚はありますよ」
今だって彼に抱かれたい、愛されたいという欲求がこみ上げてくるのだ。
「自覚があるようなら何より。まったく。煽る天才というか……おまえのそういう素直さが、俺はたまらない気持ちになるんだ」
軽口を叩き合いながらも、お互いの気持ちはちゃんと向き合っている。
今度はどちらからともなく唇を重ねる。誰も見ていない傘の中だと思うと、一度きりじゃ足りない欲求が抑えきれず、そっと唇を啄みながら、やがて夢中で何度もキスを交わした。
苦しくなって離れると、透夜が美澄の耳に唇を寄せて囁く。
「家に着くまで待てない」
耳朶を食まれ、首筋に唇を這わせられ、美澄はびくりとする。
「……! だ、だめです。さすがに外でそんなことできませんよ」
慌てて透夜の胸を押し返すと、「ふっ」と彼は笑った。
「まったく、ムードもへったくれもないな。言葉通りにとって、じたばたするんだから」
「そうやって、なんか子ども扱いするようなところありますよね」
顔を赤らめた美澄が首筋を手で押さえつつ透夜を軽く睨むと、彼はわざと美澄の髪をくしゃりと撫でた。妹にでもそうするかのように。