絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
その瞬間、つきりと胸を刺すような痛みを感じた。千代という子のことが脳裏をよぎったのだ。
彼の過去をまだ切り離せない。これからも切り離すことはできないのだろう。それなら、どう乗り越えたらいいだろう。これから夫婦として。
「そういえば、私、透夜さんに言いましたよね?」
「何をだ」
「だから、す……」
最後まで告げるのが恥ずかしくなり引っ込めると、透夜が首を傾げた。
「す?」
そのまま止められると、ますます恥ずかしくなってくる。だからもう言っちゃえと、美澄は勢いに任せた。
「だから~好きって!」
「ああ」
透夜はさらっと流す。知らんぷりをしている。
これはとぼける気だな、と美澄は悟った。
透夜にもちゃんと言葉にして、好きだと言ってほしいのだけれど。
(まあ、ここで好きって言われても、どうしたらいいかわからなくなるだけだし……強制するようなものでもないし)
悶々としていると、透夜がなだめるように言った。
「拗ねるなよ」
「……拗ねてませんよ」
と言いながら、実は拗ねているけれど。
しかし次に聞こえてきた声に、美澄は耳を疑う。
「好きだよ。美澄」
「……!」
弾かれたように透夜の顔を見た。彼は真剣な表情をしていた。それから彼は瞳を甘くにじませ、もう一度、愛の言葉を囁く。今度は、もっとやさしく。
「……好きだよ。美澄」
その威力は絶大で。
瞬く間に美澄の顔は赤くなっていく。
「~ずるい」
床に転がってバンバンと叩いてしまいたいくらい、恥ずかしいやら嬉しいやら、どうしていていいかわからない。
「なんだよ。言ってほしかったんじゃないのか」
女心はよくわからないと、透夜は照れた顔でぼやく。
「だって、家に着くまで待てなく……なるじゃないですか」
美澄が上目遣いで訴えると、透夜はふっと表情を綻ばせて、あるものを目の前に出した。
「今夜はホテルに宿泊する」
そう、それはホテルのルームキーだった。
「え?」
「予約してあるんだ」
美澄は目をぱちくりする。
「透夜さん、さては、最初からやる気満々だったんですね」
「悪いか。というか、おまえな。もう少し言い方に気をつけろよ」
通行人がくすくすと笑っていた。美澄は肩を竦めつつ、開き直ることにする。
「別にいいじゃないですか。婚約している身なんですから」
「ほら、行くぞ」
彼の過去をまだ切り離せない。これからも切り離すことはできないのだろう。それなら、どう乗り越えたらいいだろう。これから夫婦として。
「そういえば、私、透夜さんに言いましたよね?」
「何をだ」
「だから、す……」
最後まで告げるのが恥ずかしくなり引っ込めると、透夜が首を傾げた。
「す?」
そのまま止められると、ますます恥ずかしくなってくる。だからもう言っちゃえと、美澄は勢いに任せた。
「だから~好きって!」
「ああ」
透夜はさらっと流す。知らんぷりをしている。
これはとぼける気だな、と美澄は悟った。
透夜にもちゃんと言葉にして、好きだと言ってほしいのだけれど。
(まあ、ここで好きって言われても、どうしたらいいかわからなくなるだけだし……強制するようなものでもないし)
悶々としていると、透夜がなだめるように言った。
「拗ねるなよ」
「……拗ねてませんよ」
と言いながら、実は拗ねているけれど。
しかし次に聞こえてきた声に、美澄は耳を疑う。
「好きだよ。美澄」
「……!」
弾かれたように透夜の顔を見た。彼は真剣な表情をしていた。それから彼は瞳を甘くにじませ、もう一度、愛の言葉を囁く。今度は、もっとやさしく。
「……好きだよ。美澄」
その威力は絶大で。
瞬く間に美澄の顔は赤くなっていく。
「~ずるい」
床に転がってバンバンと叩いてしまいたいくらい、恥ずかしいやら嬉しいやら、どうしていていいかわからない。
「なんだよ。言ってほしかったんじゃないのか」
女心はよくわからないと、透夜は照れた顔でぼやく。
「だって、家に着くまで待てなく……なるじゃないですか」
美澄が上目遣いで訴えると、透夜はふっと表情を綻ばせて、あるものを目の前に出した。
「今夜はホテルに宿泊する」
そう、それはホテルのルームキーだった。
「え?」
「予約してあるんだ」
美澄は目をぱちくりする。
「透夜さん、さては、最初からやる気満々だったんですね」
「悪いか。というか、おまえな。もう少し言い方に気をつけろよ」
通行人がくすくすと笑っていた。美澄は肩を竦めつつ、開き直ることにする。
「別にいいじゃないですか。婚約している身なんですから」
「ほら、行くぞ」