絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
 手を握り直してから、透夜は歩き出す。それに美澄はついていく。
「これから、結婚式のこと考えようか」
「式、やるんですか?」
「籍もちゃんといれて。正式に結婚するんだ。親父や姉貴、八重さんにも報告する。服部は……まあ、いいとして、今度は堂々と周りに紹介する。おまえの亡くなった両親にも報告しないとな」
「はい!」
 笑顔を交わしあったあと、お互いに思ったことは同じだったかもしれない。
 ――その前に、二人にはやることがある。
 それは、お互いの愛を確かめ合うことだ。
 ホテルに到着し、部屋にたどり着くと、マンションの部屋とはまた違った広々とした光景が広がり、美澄はわぁと感嘆の声を上げた。
 一流ホテルの最上階、スイートルーム。窓からは都会の夜景が一望できる。きらきらと輝くそれは、まるで星空の中に浮かんでいるようだった。
「やっぱり、おまえもこういうのに憧れるんだな」
「私をなんだと思ってるんですか?」
「マンションに連れていった日に、そういう顔してたから」
 美澄はきょとんとしたあとで、そういえば……と思い出した。
『さすがは東雲先生……立派なところにお住まいなんですね。さぞかし景色もよさそうで……』
『病院から一番近いマンションがここだ。おまえが夢見ているような高層階の眺めは望めないから安心しろ』
 ……そんなふうに言っていたことを。
「……さすが東雲先生ですね」
「おまえのためだよ」
 照れている透夜を見て、美澄は目を丸くする。
「望んでいることは叶えてやりたいと思うんだ。たとえ、些細なことでも、な」
 熱っぽい眼差しに加えてストレートな告白に、美澄は身悶える。
 ウォッカを流し込んだのではないかというくらい熱いものが喉のあたりをくすぐっている。
 この人は、もう。どれほど罪作りな男なのだろう
 美澄は押し黙ったまま、思わず呼吸を止めてしまいそうになった。
「美澄?」
 透夜は怪訝な顔をしている。この非常事態がどこから来るのかなんて、彼にはまったく分かっていない様子。
「……はぁ。いきなりデレすぎではないですか」
 目の前がちかちかする。それほど、彼の情熱的な想いに衝撃を受けたのだ。
「照れてるのか。かわいいやつ」
 と、透夜は笑った。
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