絶対に愛さないと決めた俺様外科医の子を授かりました
『美澄ちゃんたちのおかあさんになるわ、私』
 何を言っているのだろうと、疑問符を浮べている美澄と冴子を尻目に、相変らず年齢不詳の美人な八重は幸せそうに微笑んだ。
 なんと東雲総合病院の院長、つまり透夜の父と再婚することになったのだというのだ。
 開いた口が塞がらなくなるなんてこと本当にあるんだと、そのとき美澄は思った。
「その件は、私も知らなかったのよ。父は再婚に前向きじゃなかったから。でも、透夜は色々と知ってたみたいね」
「はい。そのようですね」
 美澄が大衝撃を受け、その話を持ち帰って透夜に報告したところ、彼はさらっと説明してくれた。
 両親はだいぶ前に離婚していて院長は独り身だった。八重とは幼なじみの親しい関係で、美澄と透夜がお見合いしたことがきっかけで、より親密になっていったらしい。病院でふたりを見かけたときに話を聞いたそうだ。
「世の中、何があるかわからないものだわ。でも、幸せはたくさんあった方がいいもの」
「そうですね。八重さんにも幸せになってほしいです」
「役者はこれで揃った。あとは結婚式ね。楽しみにしてるわ。ねえ、柊、あんたはベルボーイでもやるといいわよ。私がデザインした子ども用のタキシード着せてあげる」
 柊はきょとんとしていたが、薫子が楽しそうにしているのを見て、うんうんと頭を振った。
「美澄ちゃんと透夜の赤ちゃんもこれから楽しみね」
 と薫子が言い出すので、美澄はまた顔を真っ赤にして、「気が早いですよー」と言っていたのだが。
 旦那様のいきなり豹変した溺愛っぷりを思えば、案外、そう遠くない未来に起こりえるできごとかもしれない。赤面しつつ、そんなふうに思い直す美澄だった。

     ***

 様々なサプライズを浴びつつ、次の休日には美澄は透夜と一緒に休日にブライダルプランナーに相談して婚礼プランを立ててもらい、十一月に挙式の予定で話を進めることになった。
 意外と決めることが多く、休日はほとんど式場が提示したスケジュールに沿って打ち合わせを重ねているこの頃――。
 六月半ばには美澄の誕生日も控えていた。しばらく公私ともにバタバタしていたが、当日は透夜が休みをとってくれ、二人で温泉旅行に出かけようとしていた。
「これで荷物は全部かな」
「まあ、一泊二日だから、足りないものがあれば向こうでも買えるしな」
「温泉旅行なんて久しぶり」
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