ライム〜あの日の先へ
「凛は、零次くんの子です」
心の奥から絞り出すように、そう告げる。
ーーやっと言えた。一生彼に伝えることはないと心の奥に閉じ込めていた真実を。
「ありがとう、鈴子。ありがとう、一成。
産まない選択肢だってあったはずだ。それでも、CAになる夢を諦めて、五嶋商事を辞めて、この子を守ってくれた。いくら感謝してもしきれない。ありがとう」
零次の頬を涙が一筋流れていくのが見えた。
なんでこんなことをしたのかと責められることもなく、望まぬ妊娠をさせたと謝罪されることもなく、幸せだと感謝されたことがとてつもなくうれしい。
ーーこれは夢かもしれない。高熱が見せた都合のいい夢。
「鈴子!」
体に力が入らない。そんな鈴子の体を一成が支えてくれた。
熱で朦朧とする中、もう一度だけ凛を抱く零次の姿を目に焼き付けて、鈴子は意識を手放した。
心の奥から絞り出すように、そう告げる。
ーーやっと言えた。一生彼に伝えることはないと心の奥に閉じ込めていた真実を。
「ありがとう、鈴子。ありがとう、一成。
産まない選択肢だってあったはずだ。それでも、CAになる夢を諦めて、五嶋商事を辞めて、この子を守ってくれた。いくら感謝してもしきれない。ありがとう」
零次の頬を涙が一筋流れていくのが見えた。
なんでこんなことをしたのかと責められることもなく、望まぬ妊娠をさせたと謝罪されることもなく、幸せだと感謝されたことがとてつもなくうれしい。
ーーこれは夢かもしれない。高熱が見せた都合のいい夢。
「鈴子!」
体に力が入らない。そんな鈴子の体を一成が支えてくれた。
熱で朦朧とする中、もう一度だけ凛を抱く零次の姿を目に焼き付けて、鈴子は意識を手放した。