ライム〜あの日の先へ
「あの日、俺に会いに来てくれたんだろ?
妊娠を俺に知らせてくれようと?」
「うん。だけど、受付でアポがないから取り次げないって言われて。
その後、スマホは落として壊れてしまうし。もう、これは神様が仕組んだことなんだって思った。零次くんには知らせるなって。私とは生きる世界が違うんだって。
でも、この鈴が私の代わりに零次くんのところに行ってたのね」
「俺はこの鈴が鳴るたびに、鈴子がそばにいてに励ましてくれている気がして不思議と頑張れた。
あの頃の俺はどん底で、社長という肩書きを背負いながら、罵倒されても、相手にされなくても、とにかく地面に頭をこすりつけてあちこちで土下座して回ってた。毎日がギリギリで、惨めだった。
あんな生活に、鈴子やりんちゃんを巻き込まなくて良かったのかもしれない」
鈴子が触れると2つの鈴は重ねた音を立てる。離れていた間も、この鈴たちは仲良く並んでいたのだと思うとなんだか感慨深い。
「でも。
過ぎてしまったことをどうにも出来ないけれど、やっぱり知らせてほしかった。
あの頃の俺には、鈴子のこともりんちゃんのことも守れる力も金もなかった。それでも俺にできることをしたかった。
いまからでも遅くはないかな。
りんちゃんが俺がパパになってもいいって言ってくれたら、鈴子、俺と結婚して」
妊娠を俺に知らせてくれようと?」
「うん。だけど、受付でアポがないから取り次げないって言われて。
その後、スマホは落として壊れてしまうし。もう、これは神様が仕組んだことなんだって思った。零次くんには知らせるなって。私とは生きる世界が違うんだって。
でも、この鈴が私の代わりに零次くんのところに行ってたのね」
「俺はこの鈴が鳴るたびに、鈴子がそばにいてに励ましてくれている気がして不思議と頑張れた。
あの頃の俺はどん底で、社長という肩書きを背負いながら、罵倒されても、相手にされなくても、とにかく地面に頭をこすりつけてあちこちで土下座して回ってた。毎日がギリギリで、惨めだった。
あんな生活に、鈴子やりんちゃんを巻き込まなくて良かったのかもしれない」
鈴子が触れると2つの鈴は重ねた音を立てる。離れていた間も、この鈴たちは仲良く並んでいたのだと思うとなんだか感慨深い。
「でも。
過ぎてしまったことをどうにも出来ないけれど、やっぱり知らせてほしかった。
あの頃の俺には、鈴子のこともりんちゃんのことも守れる力も金もなかった。それでも俺にできることをしたかった。
いまからでも遅くはないかな。
りんちゃんが俺がパパになってもいいって言ってくれたら、鈴子、俺と結婚して」