ライム〜あの日の先へ
だが、本当は叶えたい夢がある。勉強はもちろん人脈をつくる為にも、大学に行って成功者になりたい。

「もう一度、母さんに頼んでみようかな。お金は奨学金制度利用して、バイトして、何とかすればいいし」
「そうでなくっちゃ。すぐに諦めるのは零次の悪いクセ。いつか、二人で会社起こして金持ちになるんだろ?」
「あぁ。タワーマンションの最上階に住んでさ、毎日パーティしようぜ。お前とだったら、絶対成功する」


受験勉強中に二人でいつも励まし合っては描いた夢だ。


「わたしは、バラの花びら一杯のお風呂に入って、お姫様が寝るみたいなフカフカのベッドで寝たい。毎日髪の毛クルンってさせて、ヒラヒラのドレス着て、ご飯の代わりに毎日ケーキ食べる」
「よし、鈴子ちゃんの夢、叶えてやらなきゃな」
「鈴子、ドレスまでは良しとしても、毎日ケーキはダメ」

鈴子が二人の夢に便乗して、大笑いして。これからも友情は変わらないと思っていた。



だが。



その後、大学に進学出来そうだという知らせの後、零次とは急に連絡が取れなくなった。
電話も繋がらなくなり、いつの間にか引っ越ししていた。


あれほど毎日のように一緒にいたのに、あっけないほどの突然で淡々とした別れだった。




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