ライム〜あの日の先へ

久しぶりすぎて零次にどう話しかけたらいいか迷った鈴子は、とりあえず一成に尋ねた。

「それにしても、おにい、どこで零次くんとあったの?」
「今日から新しい上司が来るって言ったろ?それが零次だったんだ。いやぁ、びっくりしたよ。名前はごとうれいじ、社長のご子息だって聞いてたから。
零次が仕事終わるの待ってさ、捕まえて連れてきた」
「零次くん、おにいの上司!?え?すごっ」
「すごくなんかないよ。全然。実力じゃないから。
俺さ、高校卒業するまで、父親が誰か知らなかったんだよ。あの大学受かって見栄っ張りの母親がさ、父親に金を出してくれって頼みに行って初めて知ったんだ。
俺、五嶋商事の創業者一族で、現社長の隠し子だったって」



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