社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
 

 仏ってなんなんだろうな……、と思いながら、社食から戻って自分のデスクに着いた武者小路は思っていた。

 先に席を立ってしまったので、結局、聞かないままだったのだ。

 しばらくすると、鼻歌を歌いながら、千景が戻ってきた。

 どっこいしょ、と可愛らしく言い、自分の椅子に座る。

 それにしても、こいつ、なんだかんだで、戸塚と仲良いよな。

 っていうか、あいつの方が振り回されているように見える。

 戸塚将臣は学生時代もかなりモテていたが。
 女には興味ない風だったのに。

 なのに、何故。

 まったく、全然、そんな風には見えないんだが。

 こいつ、実は魔性の女とか?
と思ったとき、ああっ、と千景が叫んだ。
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