社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「あ、落ちましたよっ」
としゃがんで取ろうとした千景に坂巻がつまづく。

 ちょっと~っ、と言いながら、持っていた弁当殻をぶちまけた。

「坂巻~っ」

「なによ、あんたが落としたからじゃないっ。
 ああ、ありがとう、千景ちゃん」

 慌てて飛んだゴミをビニール袋に突っ込む千景を見下ろし、坂巻が言う。

「急いでっ。
 五分前に戻らないと先輩に叱られるからっ」

 そう叫んだ律子に、

「そうか。
 先輩にも先輩っているんですね~」
と千景は言って、

「しみじみ言ってないで急ぎなさいよっ」
と怒鳴られる。

「お疲れ」
という男の声がして、顔を上げると、何処かに行くところらしい将臣が八十島を連れて立っていた。

 将臣はおかしなところで、しゃがんでいる三人を見下ろし、
「……仲良しか」
とぼそりと呟き、行ってしまった。
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