社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「お疲れ様で~すっ」
と機嫌よく言った律子がこちらを振り向き言う。

「武者小路さん、いいわよね」

 社長や八十島さんと全然タイプ違うと思いますが、と千景は思ったが。

「私、武者小路さんの昔の写真見たことあるのよ。
 痩せて筋肉質で、すごいイケメンだったわっ」

 痩せないかな、武者小路さんっ、という浮かれた様子の律子の声を聞きながら、坂巻が編纂室に持って帰るじゅ寿庵の紙袋を掲げて見る。

「そう言いながら、お菓子差し入れちゃ駄目よね」
と呟いていた。


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