社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
 


 編纂室に戻り、坂巻と一緒にお菓子を配った。

 もう仕事をはじめている武者小路の机の上にも、
「総務の真柳さんからです」
と言って配る。

 ……総務の真柳? と武者小路は眉をひそめた。

「なんで総務から差し入れがあるんだ」
と顔を上げて言う。

「いや~、ちょっといろいろありまして……」

 はは、と笑いながら、千景は間近に武者小路の顔を見た。

 確かに顔はイケメンだよな、と思ったとき、武者小路が言った。

「やるよ」
「は?」

「あんまり甘いもの好きじゃないんだ。
 疲れてるときは食べるけど。

 今日はあんまり疲れてないから、お前にやる」
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