社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「はい。
 ロウソクの灯りの中で描いてると心が落ち着きます」

「怪談か。
 OLがロウソクの灯りで夜な夜な仏様描いてるとか。

 どんな丑三つ時だ」

 なにか願掛けでもしてんのか、と言われてしまう。

「いえいえ。
 ほんとに、こう心が澄み渡っていくようで。

 ……まあ、澄み渡るまでに、いろいろと思い浮かぶんですけどね」

 例えば? と問われ、昨日、心に浮かんだことを思い出しながら口に出す。

「ロウソク、マカロン……

 武者小路さん、

 チョコ、

 マカロン……」

「マカロン二回出てるぞ。
 そして、菓子の間に武者小路が入ってんのは、なんでだ」

「ロウソク……
 タクシーの運転手さんの笑顔……」

 運転手さんが嬉しそうに前で笑った。
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