【完結】和菓子職人との恋は、甘いようで甘くない?
その時から私は、ますます悠月さんに恋をしてしまったんだ。
あの日から早二年……。私はこの気持ちにフタをしてしまうばかりだ。
「……なあ、菜々海」
「はい……?」
急に真剣な眼差しを向けてくる悠月さんに、私はただ戸惑うばかりだ。
「菜々海は、なんで俺をそんなに気にかけてくれるんだ?」
「……え?」
「お前だけだよ。俺をこうやって気にかけてくれるのはさ」
「そ、そんなこと……」
そんなことない……。私はただ悠月さんを見てることしか出来なくて、肝心な時には役立たずだもん。
「覚えてるか?一年前、俺がここで熱出して倒れた時のこと」
「……はい。覚えてますよ」
一年前、閉店後に和菓子の仕込みをしていた悠月さんが熱を出して倒れたことがあった。あの時、すぐ近くにいた私が悠月さんの看病に当たったんだっけ。
懐かしいな……。あれももう、一年前のことなんだ。
「あの時、菜々海は俺のことすごく心配してくれたよな。なかなか熱が下がらない俺に、つきっきりで看病してくれたし」
「そう、でしたね」
あの時は本当に、悠月さんのこと心配だったんだ……。苦しそうな悠月さんを見て、私まで辛くなっちゃって……。