【完結】和菓子職人との恋は、甘いようで甘くない?
「あの時、菜々海なぜか泣いてたよな」
「だってあれは……その、悠月さんがすごく苦しそうだったから……」
悠月さんが無理してることを、私たちはみんななんとなく分かっていた。
だけどみんな何も言わず、悠月さんも「大丈夫だから」と言っていたからか、そこまで気にしていなかったのかもしれない。
だからあんなに無理して……。そんな悠月さんのことを心配するのは、当たり前のことだ。
「でもあの時、俺はすごく嬉しかったけどな」
「……え?」
「菜々海がそんなにも俺を心配してくれてるんだと分かって、なんていうか……無理は良くないなって、本当に思ったよ」
悠月さんはなんとなく、恥ずかしそうだったけど、その気持ちが私には本当に嬉しかった。
「あの時菜々海がずっと寝ずに看病してくれたおかげで、俺はこうして頑張ることが出来てる。 菜々海には本当に感謝してる。ありがとう」
やだ、もう……。そんなこと言われたら、私、私もう……。
「えっ!? お、おい!なんで泣くんだよ!?」
泣かずにはいられないよ……。こんなに嬉しい言葉言ってもらってるのに。
本当に嬉しい。私、今すごく幸せだ。