【完結】和菓子職人との恋は、甘いようで甘くない?
「ゆづき作るから、こっち頼めるか?」
「はい。了解しました」
「早瀬、水ようかん出せるか?」
「OKです!」
厨房内で連携を取りながら、和菓子を作っていく。 厨房内に広がる和菓子の甘い香りにはもう慣れたが、いつもこれを嗅ぐとお腹が満たされる。
「水ようかん出まーす!」
「はい。水ようかん、かしこまりました!」
カウンターから菜々海の声が聞こえてくる。菜々海の声を聞く度に、なぜだかもっと頑張ろうと思えてくる。
そのくらい、菜々海の声は魅力的で美しい。そして活力になる。
「いらっしゃいませ!角野屋へようこそ!」
「いらっしゃいませ〜」
店の中からは、いつもと同じくらいの賑わいが聞こえてくる。 これがうちの店、これが老舗和菓子屋角野屋だ。
「ゆづき出来ました!お願いします!」
注文を受けて作ったゆづきをカウンターへと運び、菜々海に渡す。
「ゆづき二つでお待ちのお客様!大変お待たせしました!」
菜々海のこの声は、本当に俺を頑張らせてくれる。
「ゆづき二つで七七〇円になります。 千円お預かります」
ゆづきは新作で出してから、注文が止まらない。ゆづきラッシュが来た。