排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

「ピッ……」

 翔がホイッスルを鳴らすと、島谷がボールを高く上げ、ジャンプサーブをくり出した。するとボールは鈍い音を立てて床を転がっていった。あまりの威力に、近くで見ていた女子から悲鳴が上がる。

「キャーー!!怖い」

「今の何?ボール見えないし、すごい音がしたよ」

 大地は微動だにせず、ボールが床に転がって行くのを目で追った。島谷は、どや顔で大地を見やった。

「どうだ、くそガキ」

「ふぅ~ん……」

 大地は転がったボールを手に取り、楽しそうに笑った。

「うわー。島谷さん、大地のスイッチ入れちゃったよ」

 クククっと赤尾が笑った。

「莉愛嬢見てて、ああになった大地は強いよ」

 大地は翔のホイッスルで、ボールを高く上げると、大きくジャンプし、体のバネを使って背中を反らせ最高打点でジャンプサーブを打ち込んだ。ズドンッという音とともに沈むボールに、体育館が一瞬静寂した。

「すっげー」

「凶器じゃん」



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