王女の選択
「ルドルフ殿の状態はどうだ?」

「完全ではありませんが話すことはできます。戦況について聞かれ、ジェラルド殿が直に交渉したいと話していることを伝えました」

「ジェラルドだ」

すかさず口を挟み間違いを正したジェラルドに、カーラは落ち着きなく両手を組んだ。

「ルドルフ殿が復帰できるまで、セルドウィックの現状を把握しておく必要がある。両国の関係回復に向けてしなくてはいけないことがたくさんあるが、ルドルフ殿がどう思っているのかがわからない。しかしセルドウィックは完全に包囲されていて我々の手中にあるのも事実だ。現時点では破壊しようとも属国にしようとも考えてはいない。ただ鉱山権を譲る気はないことだけははっきりしている。難しいかもしれないが友好関係を築くために交渉においては大幅な譲歩も考えている」

ジェラルドの真摯な表情を目にしたカーラは、トクンと心臓が鳴ると共に息苦しさを覚えた。
彼はこのような状況においてもカーラの国を助けようとしている。なのに三日後、私は彼を殺そうとしている。

まだほんの少しの時間しか共にしていないが、彼は私の命を取ることなくこの戦いを終わらせてくれた。城内の酷さを目の当たりにしても見下した態度を取らない。カーラはジェラルドの父君でもあるアングラード国王がバロー国と平和条約を結んだように、ジェラルド自身もセルドウィックとの平和条約を望んでいるようにしか見えなかった。

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