こんなのアイ?




 バーで会ったブレントはいつもと変わりなく軽快に話をしてくれた。あのパーティーのあと昨日までアメリカに10日間帰っていたこと。そしてクリスマスをアメリカに帰る年に一度の機会にしていることなど話し

「克実は開業すれば長期の休みってとれるの?」

 と私を挟んで聞いている。

「どうだろう…ゴールデンウィーク、盆休み、年末年始がそれぞれ1週間ずつくらいか?」
「そうか…1週間はちょっと短いけど二人で一度カリフォルニアの家に来てよ」
「落ち着いたら行きたいな…クリスマスは無理だけどな」
「僕、克実の休みに合わせられるから」

 私を挟んで二人は小声で話を続ける。私も自然に一緒になって話せるようになったところで克実が、今日は自分が支払うから先に出ていてと言う。二人にはしないよって言ってたのに…大丈夫だろってことかな。

 ブレントと二人で店の外に出た瞬間

「「寒いっ」」

 声が揃い顔を見合せ笑った。その時

「あ…あなた…」

 すらっとした長身の女性が私に向かって声を発した。だが、私には全く見覚えのない方で思わず半歩下がってしまうとブレントが背中に手を添え

「知り合い?」

 と私に小さく聞いてくる。女性は私が首を振るのを見るか見ないか…すぐにどこかへ行ってしまった。二人で彼女を見送るように立っているところへ克実が出てきた。

「どうかした?」
「いや…知らない女性が愛実のことを知っている風で…でも何を言うわけでもなく行ってしまった」
「なんだ、それ…愛実おかしいと思う事があったらすぐ連絡するんだぞ」
「うん、わかった克実」
「僕にも遠慮なくね。克実は病院で連絡がすぐ取れないこともあるだろ?」
「助かる、ブレント。愛実わかった?」
「うん、二人ともありがとう」
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