こんなのアイ?





 自分のマンションへ帰ったあと愛実に電話をかける。

‘…悠衣?’
「ああ」
‘さっきはありがとう。今日もごちそうさまでした’
「ん」
‘…どうかした?’
「どうかしたのかもな…さっきは黙って…ただ手を繋いで一緒に歩いただけで幸せで…帰ったら…この部屋に愛実がいたらなって…そう思うと話したくなった」
‘そう…ちゃんと考えるね’
「この電話で急かしたつもりはないぞ」
‘うん、わかってる’
「もう風呂入った?」
‘まだ今から’
「よし、じゃあ今から一緒に入るか」
‘…どういうこと?’
「今愛実も風呂入ってるなと思いながら入る」
‘…ちょっと変態っぽくない?’
「いや、健全な男の気持ちだ。いいか、10分後に入れよ」
‘え…悠衣っ’

 ふっ…可愛い声で呼んでくれる。これで今夜愛実は俺を思い出すはず。俺のことを絶えず考えるようになればいい。

 しかし、その目論見はすぐに自分に跳ね返ってきた。昂り過ぎた俺は、風呂で何年ぶりかに自分のモノを世話する羽目になりベッドでも、恥じらいながらも腰を振った彼女を思い出しなかなか寝付けなかった。
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