こんなのアイ?




「エイジハラスメント、マリッジハラスメント、子なしハラスメント…その歳でこんなことも出来ないのか、もう何歳だからそろそろ結婚だな、次は子どもだな…そんなこと人に言うものでも言われるものでもなく、個人差があって当然でハラスメントにあたると俺は考えている。ヨーロッパを回っているとな、様々な人種の様々な考え方や問題を目の当たりにした。結果…ただ皆それぞれ違う人間だって…それだけ受け入れて人種も性別も年齢も関係なく必要な部分だけ関わって生きていけばいいんだ。間違っても年齢で人の言動を一括りにするな」

 そこで彼は組んでいた脚を解き、私の方へ膝を向ける。

「結婚をする、しないと言っているのではないぞ。付き合った先の当人同士の幸せが結婚なら結婚するだろう…それが50歳でも70歳でもな。逆にパートナーとして幸せなら一緒に生活していても結婚する必要はないという結論になる可能性もある」

 彼は、わかった?という風に首を傾け私の髪を撫でると続けた。

「だから40の本気イコール結婚という考えは捨てて…な?好きな女を今より幸せにしたい…笑ってそばにいて欲しい、そして俺だけ愛して…そう思うだけで形を追う訳ではない」

 そして私の頭を強めにポンポンとすると

「一度に受け入れられなくても、理解できなくてもいい。俺も何年もの間にたくさんの人と出会って理解出来た部分もあるしな。愛実には何回でも講座は個人レッスンで受けさせてやるし、俺の愛を感じるという実技もついてくるからすぐわかる」

 ちょうど鳴ったインターホンに、玄関へ向かった彼の背中は私の目にとてもセクシーにうつった。
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