こんなのアイ?




 会社の忘年会…部署ごとのことが多いので俺はほとんど行かないが今日の会は途中から参加した。終わって店の外に出てすぐ二次会がどうのと周りが話していると、気づかないうちにブレントが輪から抜けており彼を呼ぶ声で気づいた。その声の先にはブレントと愛実と男。男がブレントに軽く手をあげた様子で知り合いだとわかる。愛実もその横で手を振り二人は身を寄せ合い歩いて行った。またそこのバーに二人で…そしてブレントがいつの間にあの男を知っている?

 二次会は若い社員に任せ、ブレントを誘いバーへ行く。ロックグラスを片手に聞いてみる。

「後ろ姿だったが…愛実と克実か?」
「ああ、もう悠衣も会ってたのか…」
「相変わらず仲いいな、あの二人」
「そうだね、いい兄妹だよね」

 ビンゴ…繋がった。あの男が、愛実が電話で名前を呼んだ克実なのかという予想で鎌を掛けたらその通り。しかも兄という情報までもらえば、医療関係者の家族というのが克実でケガの時にブレントと知り合ったことまで繋がった。兄ね…

「ブレントも克実と仲良さそうじゃないか」
「まあね」

 あれから愛実は俺と会うことを避けている。大方真面目に一人であれこれ考えているのだろうが、まずそれが間違い。俺の言葉や体温を感じないと今までと変わるわけも変われるわけもない。プライベート講座がまだまだ必要なのに…また少し強引に誘うか…
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