空の表紙 −天上のエクレシア−


「…『世界の終わり』は
誰かが呼ぶんじゃないわ

自分が呼ぶのよ」



――― 自分




「………俺
建国祭の日の、『星祭』に
サリュを連れて行って
あげたいんです

その日は
一般は乗れない飛行船に
俺達も乗れるし…

それで、星が降る、『夏ヶ原』に
連れて行ってあげたいんです

俺があげられる『星』って
考えてもそれしか…無いから…」


マナはにっこり微笑んだ

「こっちへ 馬を貸すわ」

「は、はい!」


マナは馬車用の茶色い馬に
手際良く鞍をかけた

そしてあの時の様に
袋を差し出した

「今回は、私からのお使いもの」

「え?!」

「…ノアールさんに頼まれた
玩具の短銃が入ってるの
使い心地を聞いて、
お代を頂いて来て。必ずよ」


「………はい!!」




―アクアスが馬に乗ると
マナが勢い良く脇腹を叩く

走り出す馬の速度の向こうから

『御武運を』と
唇だけで、また呟いていた






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