空の表紙 −天上のエクレシア−

「う…。」

剣を支えに
やっと立ち上がるが
床がツルツルとしていて
途中でかっこ悪く転んでしまった

煙る白い霧の中
目を凝らす

腕で何回か擦ると
周りがはっきり見えて来る様になる


――壁は
何か浅黒い金属の様な物で出来ていて
そこに沢山の四角い宝石が
埋め込んであった
薄暗い中で、それらがたまに点滅する



そこは硝子で出来た
星見の展望台の様だった



辺りを見回すが人影は無い

――天上に無数の星が見える



「…どこかを飛んでいるのか?」



そして眼下には

何かに何度も殴られた様な
でこぼことした
白い星があった


美しいがその姿は
見た事も無い物だから少し怖くなって
上を向く。






「…皆…は…?」



よろけて壁に手をついたら
そこは風みたいな音をたてて
勝手に開いて

アクアスはまた
思い切りよく転倒した








転んだ先で
再び目を凝らす

ヒュンヒュンと音を立てる
白い棒状の物が
床の両端にあって
僅かに蒸気を出しながら回転する
白くそこだけ
夜目に浮き上がっていた

ここは少し熱い


暫く白い空間を分け先に進むと
長い廊下

トンネル状のそれは
やはり硝子張りで
先程見た、青い丸が見えた

「……星…だったのか」



この船は今
降下しているらしく
その青い星が
目前にどんどん迫って来た


――雲に埋まる





< 200 / 227 >

この作品をシェア

pagetop