空の表紙 −天上のエクレシア−

交錯する十字路

―――――――――
黒い剣光が目の前に走った。

(やられる!!)

アクアスの体に強い衝撃。転倒。


(やられた…のか?)


しかし新たな剣風の交錯音

慌てて身を起こすと
黒い服を着た、自分と大差ない
少年の姿が目に飛込んで来た

衝撃は斬られたのではなく、
寸でで彼に跳び蹴りされ
転んだらしい。

そうでなかったら確実に
深手を負うか、やられていた


「アクアスさん!いけるか?!」


「あ、ああ!」

体勢を立直し周りを見ると、
またもや数人の闇兵に囲まれていた

「戻って来た?!」

「いや。後続」

二人は背中合わせに立つ。


アクアスは見ず知らずの少年に問う

「まず礼を言う!
しかしなぜ手助けを?逃げた方が!」


「ノアールだ。
…あんたの兄貴に恩があってね」


「!?」

「まあそれは後にしようや。
うお!俺なんも武器持って来てねえ!」


にじり寄る黒い影

「俺の腰を探れ ナイフしかないが…」

「上等。」


ノアールはそれを両手で持て遊ぶと
右手に持ち替えニカリと笑った


黒い影達の疾風が走る

(速い!!




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