空の表紙 −天上のエクレシア−


アクアスは目標を捕捉しようと
神経を集中する

後方に片足を引き
思いきり体を回転させて胴に切り込む!

「せえいっ!!」

(入った!
が。ガキン。と言う
鈍い反撥音と同時に刀が弾かれ
返って来てしまった


「!!」


『闇鋼鐵は切るのは無理ですよ…』

マナのあの台詞が頭に響いた

「じゃあ斬るのも無理なのか!!」

「あ?!」

「く…闇鋼鐵はきるのは無理らしい!」

「あぁ?!気合いだ!!
気合いで無理やり行け!」

「な?!」

防御一方に汗が吹き出す。
試合ならそろそろ『止め!』の
声が響く頃だ。




(暑い…


自分が打ち込み易い様に、
その機敏さを生かして
補助してくれている彼の額にも
汗が噴き出している

…しかし機敏すぎる
なんなんだ…?

その時上から、声が降って来た


「さて質問ターイム。
お洋服は、
どーやって着るでしょーか?」


「うるせーー!!手伝え!」

ノアールは剣を弾き笑いながらその声に答える


(服…
アクアスはとっさに気付く


「…鎧の継ぎ目だ!!」

相手だって人間だ
鎧を着ている


グンと右肘から前に踏み込む
相手が反り返った首に隙間が出来た


左の爪先に力を入れ剣を反動させる

肉の切れる音。

−どこかで羽音が遠のいて行ったが
また意識を集中する。

次はしゃがみ片膝を立て
横の兵士のブーツと膝当ての
隙間を狙う

闇色に染められた全身
良く見れば機動性を重視した装甲は
主要な部分にしか闇鋼鐵を
使用していない。
それ以前に近付かせない力量が
あるからなのだろうが。

首に溜まる汗を拭い
最後の闇兵士に剣を向ける


しかし。

なんだか様子が違った。


…怯えている?




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