今宵、幾億の星の下で
暗い山道を登っていくと、そこに山小屋があった。
丸太づくりで煙突が見える。
「おれの隠れ家だ。しばらく、ここに身を隠すのはどうだろう」
ソファ、暖炉、テーブル。
キッチンに寝室。
普通の家と変わらない。
「見た目は丸太だが、防寒防熱にすぐれた壁を使ってる。電気ガス、水道も普通に使える」
中へ踏み入れ、ふと暖炉に写真が目に止まる。
小さな宝箱のような小箱が置いてあった。
猫の写真だ。
近づくと耳元と胸元の宝石がざわざわと、色がざわめいている。
「わかった、わかった……。確かめたいのね」
玲が手にかけると、今度は簡単に外れた。
写真の隣に並べる。
「子供の頃に飼っていた、猫の骨が入っているんだ」
長い年月、お互いに似た存在に出会えなかったのか、それとも気が合う存在だったのだろうか。
宝石は穏やかに輝き、時たまピンクのようなそんな色も見える。
「伝説は本当だったみたいね。よかった」
信じがたい話を、玲は自然に受け止めているようだった。
「不思議な人だな」
「あなたこそ。……本当に今夜は驚くことばかり。夕方に失恋したばかりだったんですよ」
「君みたいな素敵な女性を振るなんて、そいつはどうかしてるな」
「優しいですね、ありがとう。でも、その答えを待ってたんです。わたしは悪くないって」
「ああ。君はまったく悪くない。そんな男は、もう忘れろ」
「ですよねっ。わたしには合わなかっただけ……」
笑顔を見せたものの、玲の瞳から涙が零れ落ちた。
「……あれ?」
五年前、たまたま花を店に卸しに来ていた玲はひとめぼれされ、猛アタックされて交際を始めた。
お互いを支えあってやってこれたと信じ、誕生日の今日、プロポーズを期待していた。
すべて自分勝手な妄想で期待した方が悪い。
しかし今、そんな風に自分を攻めたくなかった。
「嫌ですね。今日の出来事を話そうと思っても、もうできないんですよね。……ごめんなさい……」
静かに涙を流す玲を拓馬は見つめ、やがて口を開いた。
丸太づくりで煙突が見える。
「おれの隠れ家だ。しばらく、ここに身を隠すのはどうだろう」
ソファ、暖炉、テーブル。
キッチンに寝室。
普通の家と変わらない。
「見た目は丸太だが、防寒防熱にすぐれた壁を使ってる。電気ガス、水道も普通に使える」
中へ踏み入れ、ふと暖炉に写真が目に止まる。
小さな宝箱のような小箱が置いてあった。
猫の写真だ。
近づくと耳元と胸元の宝石がざわざわと、色がざわめいている。
「わかった、わかった……。確かめたいのね」
玲が手にかけると、今度は簡単に外れた。
写真の隣に並べる。
「子供の頃に飼っていた、猫の骨が入っているんだ」
長い年月、お互いに似た存在に出会えなかったのか、それとも気が合う存在だったのだろうか。
宝石は穏やかに輝き、時たまピンクのようなそんな色も見える。
「伝説は本当だったみたいね。よかった」
信じがたい話を、玲は自然に受け止めているようだった。
「不思議な人だな」
「あなたこそ。……本当に今夜は驚くことばかり。夕方に失恋したばかりだったんですよ」
「君みたいな素敵な女性を振るなんて、そいつはどうかしてるな」
「優しいですね、ありがとう。でも、その答えを待ってたんです。わたしは悪くないって」
「ああ。君はまったく悪くない。そんな男は、もう忘れろ」
「ですよねっ。わたしには合わなかっただけ……」
笑顔を見せたものの、玲の瞳から涙が零れ落ちた。
「……あれ?」
五年前、たまたま花を店に卸しに来ていた玲はひとめぼれされ、猛アタックされて交際を始めた。
お互いを支えあってやってこれたと信じ、誕生日の今日、プロポーズを期待していた。
すべて自分勝手な妄想で期待した方が悪い。
しかし今、そんな風に自分を攻めたくなかった。
「嫌ですね。今日の出来事を話そうと思っても、もうできないんですよね。……ごめんなさい……」
静かに涙を流す玲を拓馬は見つめ、やがて口を開いた。