神殺しのクロノスタシスⅣ
こんなときには。

「イレース!ちょっとシルナを止め、」

「では、私は授業計画を変更しなければなりませんので、これで失礼します」

無情な鬼教官は、俺を見なかったことにして、さっさと退室。

はっ…く、じょうな…!

しかし、教師仲間はまだいる。

「ナジュ!シルナを何とか、」

「さ〜て!僕は学生寮に行って、生徒達に愛想振り撒いて、生徒からの株を上昇させてきますかね〜」

読心魔法教師は、半笑いで颯爽と、学院長室から出ていった。

分かっていた。あいつには特に期待していない。

でも、俺にはまだ本命がいる。

「天音!お前は俺を見捨てないよな!?」

「えっ…えぇと…」
 
天音は、俺に助けを求められ。

俺の顔と、鬼気迫っているシルナの顔を順番に見比べ。

「…その、が、頑張ってください」

俺を諦めやがった。

天音…お前だけは助けてくれると、信じていたんだぞ俺は…。

かくなる上は。

もう、教師仲間は頼れない。こうなったら、生徒でも良いから頼る。

「令月、すぐり!お前らからも何とか…」

と、二人の元暗殺者組に声をかけようとしたら。

さっきまで、確かにそこにいたはずの二人は。

いつの間にか、消えていなくなっていた。

そして、窓が開け放たれ、ひらひらとカーテンが舞っていた。

あ、あいつらぁぁぁ…!!

危機察知能力と逃げ足が、暗殺者のそれ。

二人仲良く逃げ出しやがったな。おのれ。

そして残されたのは、俺とシルナのみ。

最早、俺に逃げ場は無し。

「さぁ行こう羽久!」

「…畜生…」

全員、後で覚えてろよ。
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