神殺しのクロノスタシスⅣ
え?何言ってんですか、俺。

何で、こんなハゲジジィに謝罪している?

そもそも俺は今、立ち上がって、おっさんの髪の毛を引っこ抜くつもりだったのに。

何故か俺の足は動かず、手も動かず。

代わりに、口が勝手に謝罪の言葉を述べていた。

…これは、如何なることだ。

「ふん。まぁ、お前の場合、どうやっても馬鹿は馬鹿だがな」

俺が困惑して、何も言えずにいるのを良いことに。

おっさんは居丈高にそう言って、半笑いで教卓の方に歩き去った。

教室の中にいた生徒達が、それを聞いてどっと笑った。

…何だ?これ。

俺は今、どういう状況にあるんだ?

全く意味が分からない。

それなのに。

「よーし。じゃあ授業続けるぞー」

おっさんはそう言って、チョークを手に黒板に向き直った。

他の生徒達も、嫌味ったらしくこちらを見てニヤニヤしていたが。

すぐに飽きたのか、それぞれ手元のノートとテキストに視線を戻した。

…。

…俺は、一体何処で、何をやってるんだろう?
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