神殺しのクロノスタシスⅣ
俺は魔導師なんだから、白衣が似合わなくても仕方ないだろう。

回復魔法も、使えなくはないが、とても得意とは言えないからな。

『君に看てもらっても、全然治る気がしないと思うよ?』
 
そこまで言うか。

つまりあの少女の余命が短いのも、俺のせいなのか?

いや。

「そんなことはどうでも良い」

『うん、どうでも良いね』

「それより月読、お前は何を覚えている?俺は…何故ここにいるんだ。何故魔法が使えない?何故この世界は…」

『…本当に覚えてないんだ。私がいて良かったね。一生思い出せなかったかもしれないよ』

そうかもしれないな。

『君はあのとき…足を踏み入れちゃったんだよ。他の三人と一緒にさ。魔法陣の中に…』




…と、月読から事情を聞いて。

俺は初めて、自分の置かれた状況について理解した。
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