神殺しのクロノスタシスⅣ
「君の言ったことはほとんど事実だ。だけど…君は一つ、思い違いをしている」

「思い違い…?」

「そう。私は…自分にとって居心地の良い場所を作る為に、ルーデュニア聖王国を建国した訳じゃない。全ては…君の為なんだ、羽久」

正しくは、羽久ではないけれど。

でも、君を羽久だと思って話そう。

「私のことはどうなっても良い。地獄に堕ちても構わない。でも…君は生きて欲しい。私が全てを捨ててまで選んだ、君だけは…生きていて欲しいんだ」

私は、羽久もどきを抱き締めた。

抵抗はされなかった。

「君は、私が生きた証だから…。私や、私のせいで死んだ人々の、存在の証として。君だけは、死なないで欲しい」

その代わり私は、地獄にでも何処にでも行く。

業火に焼かれても構わない。

「…君だけは生きてて、羽久。許さなくて良いから。私を憎んで良いから…。でも死なないで」

だって、私は。

「…君のことが大好きだから。君を愛してるから」






だから私は、抱き締めた羽久もどきの身体に。

深く、ナイフを突き刺した。





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