神殺しのクロノスタシスⅣ
今更こんなことを言ったって、どうにもならないし。
死んだ人は、僕を許さない。
だからこれは、単なる僕の自己満足だ。
「…ごめんなさい、天音さん」
「…え…?」
「あなたの幸せ…。あなたの大切な人の幸せを…壊して、ごめんなさい…」
「…」
罪悪感で僕を潰すのが、あの異次元世界の目的だったらしいが。
あれは、本当に良い線行ってましたよ。
危うく潰されるところだった。
危うく呑まれるところだった。
確かに僕には、罪悪感ですり潰されてしまうほどの良心は残っていないけど。
痛いところをグサリと刺されて、大出血して、ついでにその傷口に塩をたっぷり塗りつけられた…くらいには。
罪悪感で、心が痛かったりするんですよ。
妙なところで繊細なんでね、僕の心は。
だから、今更謝ることで、自分の罪悪感を少しでも癒やそうとしている。
本当に、最低の人でなしですよ。
救いようがない。こんな人間は。
だから、思いっきり罵って欲しい。
今更何言ってんだこの馬鹿、死んだ人に土下座しろ、と罵倒して欲しい。
その方が、ずっと楽になる。
…けれど。
「…大丈夫?異次元世界で…随分辛い思いしたんだね」
…ほら、これだよ。
あなたはこうして、こんなろくでなしにも、誰にでも、優しいから。
僕を責めることはない。
「やっぱり、僕が行けば良かった…」
まさか。
「あなたは無理ですよ…。優し過ぎて…他人を傷つけられないから」
「…それは君もでしょ?」
何を言ってるんだか。
「僕ほどの悪党が、優しいなんて有り得ない…」
「本当に悪党だったら、謝ったりもしないし、後悔もしないよ」
「…」
…それは…。
…物は言い様、って奴では?
「自分の罪を、自分の弱さを、自分の愚かさを知ってる人は、それだけ人に優しく出来るってことだから。君がいつも、僕達の代わりに自分の命を張るのは、そういうことでしょ?」
「…そういうことなんですかね?」
「自覚がないんだ?じゃあ、やっぱり君も、根は優しい人なんだよ。罪悪感なんて、元々優しい人しか感じないものなんだから」
…成程。
表裏のない、忌憚なき意見をありがとうございます。
…あなたの心には裏がないから、読み甲斐がありませんね。
「…済みません」
「随分、異次元世界でいじめられたみたいだね。身体が疲れてるときは、余計に心も弱くなるものだよ」
そうかもしれませんね。
「学院長と羽久さんも、何だか一悶着あったみたいだし」
え。
「そうなんですか…?」
「うん…。異次元世界って、相手を精神的に傷つけるみたい」
…最低ですね。
「酷いことしますよ、本当…。性格悪いですね」
人のことは言えませんけどね。
天音さんもそう言って良いんですよ。
死んだ人は、僕を許さない。
だからこれは、単なる僕の自己満足だ。
「…ごめんなさい、天音さん」
「…え…?」
「あなたの幸せ…。あなたの大切な人の幸せを…壊して、ごめんなさい…」
「…」
罪悪感で僕を潰すのが、あの異次元世界の目的だったらしいが。
あれは、本当に良い線行ってましたよ。
危うく潰されるところだった。
危うく呑まれるところだった。
確かに僕には、罪悪感ですり潰されてしまうほどの良心は残っていないけど。
痛いところをグサリと刺されて、大出血して、ついでにその傷口に塩をたっぷり塗りつけられた…くらいには。
罪悪感で、心が痛かったりするんですよ。
妙なところで繊細なんでね、僕の心は。
だから、今更謝ることで、自分の罪悪感を少しでも癒やそうとしている。
本当に、最低の人でなしですよ。
救いようがない。こんな人間は。
だから、思いっきり罵って欲しい。
今更何言ってんだこの馬鹿、死んだ人に土下座しろ、と罵倒して欲しい。
その方が、ずっと楽になる。
…けれど。
「…大丈夫?異次元世界で…随分辛い思いしたんだね」
…ほら、これだよ。
あなたはこうして、こんなろくでなしにも、誰にでも、優しいから。
僕を責めることはない。
「やっぱり、僕が行けば良かった…」
まさか。
「あなたは無理ですよ…。優し過ぎて…他人を傷つけられないから」
「…それは君もでしょ?」
何を言ってるんだか。
「僕ほどの悪党が、優しいなんて有り得ない…」
「本当に悪党だったら、謝ったりもしないし、後悔もしないよ」
「…」
…それは…。
…物は言い様、って奴では?
「自分の罪を、自分の弱さを、自分の愚かさを知ってる人は、それだけ人に優しく出来るってことだから。君がいつも、僕達の代わりに自分の命を張るのは、そういうことでしょ?」
「…そういうことなんですかね?」
「自覚がないんだ?じゃあ、やっぱり君も、根は優しい人なんだよ。罪悪感なんて、元々優しい人しか感じないものなんだから」
…成程。
表裏のない、忌憚なき意見をありがとうございます。
…あなたの心には裏がないから、読み甲斐がありませんね。
「…済みません」
「随分、異次元世界でいじめられたみたいだね。身体が疲れてるときは、余計に心も弱くなるものだよ」
そうかもしれませんね。
「学院長と羽久さんも、何だか一悶着あったみたいだし」
え。
「そうなんですか…?」
「うん…。異次元世界って、相手を精神的に傷つけるみたい」
…最低ですね。
「酷いことしますよ、本当…。性格悪いですね」
人のことは言えませんけどね。
天音さんもそう言って良いんですよ。