神殺しのクロノスタシスⅣ
「…俺の妹は、死ぬ運命だったって言うのか?」

「そうだ」

非情なようだが、それが事実だ。

起きてしまったことは変えられない。

「あのときこうしていれば、ああしていれば…などと言い出せばキリがない。生まれてきたからには、どのような未来が待ち受けているか、どのような運命を辿ることになるか、誰にも分からない」

この世に生まれ落ちてから一瞬たりとも、次の瞬間も生きているなどという確証は持てない。

いつ何時、自分の命が失われることになるか、など…誰にも分からない。予測出来ない。

神でもなければ。

「生きていれば、誰の身にも不幸は降り注ぐし、困難な運命にも直面する。誰にでも、その可能性はある」

「だから諦めろって言うのか?助けられたかもしれない俺の妹の命を、運命だから黙って受け入れろと!?」

それが出来たら、苦労しないだろうな。

俺もそう思う。

「お前の憎しみを否定するつもりはない。だが…お前の復讐は無意味だ。お前の勝手な自己満足だけで、誰も望まない復讐だ」

あの少女はきっと、無関係の人間に復讐することを望んではいないだろう。

復讐でもしなければ、生きる活力を得られない。その気持ちも分かる…。

だが、こんなことをしても何も変わらないし、お前も変わらない。

「世界はいつだって非情だ。個人の都合など考えてはくれない」

自分の歩く道に、石が落ちていようと、茨が生い茂っていようと。

それは誰のせいでもないし、過酷でも辛くても、自分の歩む道は変えられない。

運命とは、そういうものだ。

「運命に打ちのめされ、それでも足搔いて生きる。自分の出来る精一杯を、そのとき一番正しいと思う選択肢を選びながら…。魔導師でも、一般人でも変わらない。それが、人間の生き方だからだ」
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