神殺しのクロノスタシスⅣ
「あああ〜」

「うぉえ〜。三半規管鍛えられる〜」

「うるせぇ。黙って回れ」

「あと469回転です」

「あわわわ…。ふ、二人共大丈夫…?」

「いやー、恐ろしい拷問ですね。僕にはとても耐えられそうもないです」

「別に大丈夫だよ。『アメノミコト』の拷問に比べたら、この程度…」

「そーそー。可愛いもんだよね〜。…おぇ」

「…あなた達、全く反省の色が見えませんね。…あと500回転追加しましょうか?」

「お、鬼だ…」

…え、えぇと。

…何だかお取り込み中のようなので、私、帰った方が良いでしょうか?

部屋の中では、二人の生徒が宙吊りにされていた。

比喩ではなく、本当に宙吊りになっていた。

あれは、元『アメノミコト』の暗殺者…。令月さんとすぐりさんですよね。

その二人が全身をロープでぐるぐる巻きにされ、天井から逆さまに吊るされて。

羽久さんが、てるてる坊主のような二人を、棒でつっついてぐるぐる回転させていた。

そして、二人が回転した回数を、イレースさんがカウンターでカチ、カチ、と数えていた。

あと469回って言ってましたよね…。一体何回から始めたんでしょう…?

そんな異様な光景を、ナジュさんは半笑いで指差して眺め。

学院長先生と天音さんだけが、おろおろと、拷問される二人を気遣っていた。

…えぇと。

…やっぱり帰った方が良いでしょうか?

取り込み中ですよね、明らかに…今…。

「ん?別に大丈夫ですよ」

「えっ?」

ナジュさんが、私の来訪に気づいてくれ。(と言うか、心を読んだんでしょうか?)

私は、帰るに帰れなくなった。

「済みませんね〜。今拷問の最中なんですよ」

「え、えぇと…それは…見たら分かりますね」

明らかに拷問ですね。

お二人共、ミノムシのような姿でくるくる回されている。

見ているだけで、私も三半規管が狂って吐き気を催しそうです。
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