神殺しのクロノスタシスⅣ
控え室での言動の為、不安の残るブーケトスだが。
「良いかベリクリーデ、軽くだぞ。軽く投げるんだ。ふわっと投げるだけだぞ」
何度も小声で、そう言い聞かせる。
キャッチする側の女性陣も、緊張の面持ちである。
これ、キャッチ出来なかったら、折角のお洒落なブーケが、べシャッ、と地面に落ちることになるからな。
それだけは避けたい。
風情も糞もあったもんじゃないぞ。
ので、本来ならブーケトスには参加しないはずの男性陣も、後ろに控えている。
いざとなったら彼らが取ってくれる。
少なくとも、落とすよりマシだ。
あと少しだ。これが終われば、メルヘン結婚式も幕を閉じる。
最後の最後で抜かるなよ。ベリクリーデ、頼むから。
「じゃあ投げるよー」
よし。
「えーい」
ポーンっ、とベリクリーデはブーケを高く放り投げた。
ブーケが、花びらを散らしながら空高く舞い上がった。
こ、の、馬鹿…!
「加減をしろって言っただろうがっ!」
「え?加減したよ?」
加減(当社比)。
お前の加減は、一般人にとってやり過ぎなんだよ!
空高く舞い上がったブーケは、太陽の日差しのせいで、眩しくて見上げられなかった。
ヤバい、何処だ落下地点は。
女性陣は、それどころか男性陣も、何とか落下地点を探そうと、揃って空を見上げながら千鳥足。
滑稽過ぎる。
ブーケを投げてから落下するまでのほんの数秒が、永遠にも近く感じられた、そのとき。
「ふっ!…つ、はぁ…」
空から落ちてくるブーケが、誰かの手の中にキャッチされた。
危ういところだったが、ちゃんと誰かが掴んでくれたのだ。
クュルナだった。
もう、泣いて感謝したい。
よく取ってくれた。
「ふぅ…。…取れました」
「よくやったクュルナ…!」
「良かったぁ…。次、結婚式を挙げるのはクュルナちゃんかな?」
これには、シルナ・エインリーもこの軽口。
ブーケトスの言い伝えによると、そうなるな。
「クュルナは強いし、美人からな。お眼鏡に適う相手は、そうそういなさそうだがな」
と、羽久・グラスフィアが苦笑いで言った。
無事に結婚式を締め括ることが出来て、羽久もだいぶ、肩の荷が下りた気分らしい。
「い、いえ。私は羽久さんなら…」
と、クュルナがブーケを抱えて、ぼそぼそと呟いてみたが。
「?何か言ったか?」
「…いえ、何でもありません」
クュルナよ。
羽久のこの調子じゃ、お前の結婚式は、まだまだ先のようだな。
羽久の朴念仁ぶりにも呆れるが、これはこれで、微笑ましく結婚式を締め括ることが出来た。
はー、良かった。もうこんな緊張は二度としたくな、
「…何だか違うんだよなぁ」
…ここに来て。
オレンジ小人が、とんでもないことを言った。
「良いかベリクリーデ、軽くだぞ。軽く投げるんだ。ふわっと投げるだけだぞ」
何度も小声で、そう言い聞かせる。
キャッチする側の女性陣も、緊張の面持ちである。
これ、キャッチ出来なかったら、折角のお洒落なブーケが、べシャッ、と地面に落ちることになるからな。
それだけは避けたい。
風情も糞もあったもんじゃないぞ。
ので、本来ならブーケトスには参加しないはずの男性陣も、後ろに控えている。
いざとなったら彼らが取ってくれる。
少なくとも、落とすよりマシだ。
あと少しだ。これが終われば、メルヘン結婚式も幕を閉じる。
最後の最後で抜かるなよ。ベリクリーデ、頼むから。
「じゃあ投げるよー」
よし。
「えーい」
ポーンっ、とベリクリーデはブーケを高く放り投げた。
ブーケが、花びらを散らしながら空高く舞い上がった。
こ、の、馬鹿…!
「加減をしろって言っただろうがっ!」
「え?加減したよ?」
加減(当社比)。
お前の加減は、一般人にとってやり過ぎなんだよ!
空高く舞い上がったブーケは、太陽の日差しのせいで、眩しくて見上げられなかった。
ヤバい、何処だ落下地点は。
女性陣は、それどころか男性陣も、何とか落下地点を探そうと、揃って空を見上げながら千鳥足。
滑稽過ぎる。
ブーケを投げてから落下するまでのほんの数秒が、永遠にも近く感じられた、そのとき。
「ふっ!…つ、はぁ…」
空から落ちてくるブーケが、誰かの手の中にキャッチされた。
危ういところだったが、ちゃんと誰かが掴んでくれたのだ。
クュルナだった。
もう、泣いて感謝したい。
よく取ってくれた。
「ふぅ…。…取れました」
「よくやったクュルナ…!」
「良かったぁ…。次、結婚式を挙げるのはクュルナちゃんかな?」
これには、シルナ・エインリーもこの軽口。
ブーケトスの言い伝えによると、そうなるな。
「クュルナは強いし、美人からな。お眼鏡に適う相手は、そうそういなさそうだがな」
と、羽久・グラスフィアが苦笑いで言った。
無事に結婚式を締め括ることが出来て、羽久もだいぶ、肩の荷が下りた気分らしい。
「い、いえ。私は羽久さんなら…」
と、クュルナがブーケを抱えて、ぼそぼそと呟いてみたが。
「?何か言ったか?」
「…いえ、何でもありません」
クュルナよ。
羽久のこの調子じゃ、お前の結婚式は、まだまだ先のようだな。
羽久の朴念仁ぶりにも呆れるが、これはこれで、微笑ましく結婚式を締め括ることが出来た。
はー、良かった。もうこんな緊張は二度としたくな、
「…何だか違うんだよなぁ」
…ここに来て。
オレンジ小人が、とんでもないことを言った。