神殺しのクロノスタシスⅣ
既に怪しい匂いはするが、何とか指輪の交換も終わり。

色々と端折って、次はようやく。

シルナ・エインリーお待ちかねの、ウェディングケーキ入刀。

それにしても、急遽用意したとは思えない、立派なウェディングケーキだ。

ベリクリーデと二人でナイフを持ち、ケーキを切り分け。

お互いにケーキを食べさせ合う、所謂ファーストバイトを行う。

「ほらベリクリーデ、口開けろ」

「あーん」

もぐ。

よし。

「美味いか?」

「もぐもぐ。美味しい」

そりゃ良かったな。

「ジュリスにもあげるー」

「はいはい」

小っ恥ずかしいが、ベリクリーデにケーキを食べさせてもらう。

これも必要な儀式だからな。

もぐもぐ。

うん、普通に美味い。

「ケーキ…。やっぱりケーキは大事だもんね!はー!私も早く食べたい!」

「ちょっと黙ってろシルナ。風情がなくなるだろうが!」

外野がなんか騒いでる気もするが、気のせいだと思おう。

ウェディングケーキ入刀が終わったら、またしても色々端折って、あとはブーケトスのみだ。

ようやく、この茶番儀式が終わる、という開放感の為に。

俺はこのとき、オレンジ小人が微妙に満足していなさそうな顔をしていることに、気づいていなかった。
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