神殺しのクロノスタシスⅣ
クュルナさんも、僕と同じく『白雪姫と七人の小人』の小人と契約して、ひたすら怒りを募らせる毎日を送っている。

だから、僕は「不幸なのは自分だけではないから」と、心を慰めてきたのだが。

僕が学院長室にやって来たときには、

「え?クュルナさん…契約終わったんですか?」

「はい、つい今しがた…」

…そんな…。

確かによく見ると、クュルナさんの指に嵌められていた、茨の指輪が消えていた。

はー…。良いなぁ…。

いつの間に…。

「クュルナさんの怒りがバーストモードに移行して、一気に瓶がいっぱいになりました」

と、ナジュさんが説明してくれた。

…そうだったんだ…。

七日間みっちり、時間をかけて契約を満了すると思っていたのだが…。

小瓶がいっぱいになれば、七日間を待たずして解放されるのか。

クュルナさんだけでも、先に解放されて良かった。

これでもう、羽久さんは不幸な目に遭うことはないし。

クュルナさんも、羽久さんを通して、怒りを掻き立てられることもない。

そう思うと、一安心だけれど…。

しかし僕の方は、何も解決していない。

結局、僕だけ取り残された感じになって…。

…あっ、何だかまた切ない…。

「そうやって、一人置き去りにされたという悲しみを煽るのが、青小人の狙いなんでしょう」

「そうなのかな…。…そうなんだろうなぁ…」

「げ、元気出してエリュティア君…!」

学院長先生が、必死に励ましてくれる。

その気持ちは嬉しいけど…。

今のところ僕は、毎日毎日、嫌と言うほど不幸を体験している。

羽久さんも、あちこち怪我をして大変な目に遭っている。

そして僕もまた、それに負けてはいないのだ。
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