神殺しのクロノスタシスⅣ
避ける暇は勿論、受け身を取る暇もなかった。

りんご砲をまともに食らった俺は、思いっきり後方に吹き飛ばされ。

学院長室の壁を貫通する勢いで、壁に叩きつけられた。

「がっ…は…」

背中が壊れるかと思った。それくらいの衝撃だった。

痛みと言うより衝撃の方が強くて、目の前に火花が散ってる。

「羽久!!」

さっきから、シルナが叫んでる声がするのだが。

その声に答えられない。まず、声が出ない。

肺から空気を搾り出そうとしても、酸欠でも起こしたかのように、何も出てこない。

代わりに。

「…がはっ…。げほっ…ごほっ…」

拳大はあろうかという、血の塊が口から飛び出した。

今、背中をぶつけたせいで…内臓に傷がついたか。

この軟弱者め。玩具の白雪姫にここまでやられるとは。

フィールドが狭いのと、珠蓮達に攻撃の飛び火が行かないよう、制限して立ち回っていたのが仇になったな。

いや、別に後悔はしていないが。

そもそも、胴体に風穴開けられてるのに、普通に動いているのが計算外だった。

少しは動きが止まると思ったのだが、関係なかったらしい。

さすがお人形。痛みは感じないし、身体が壊れようが、完全に破壊されるまでは動き続けるのか。

こんな状況でも、俺は割と冷静に判断していたのだが。

俺が血を吐くのを見て、俺以上に動転していたのが、シルナだった。

「羽久!しっかり…」

シルナは、あろうことか白雪姫に背を向け、俺の方に駆け寄ってきた。

おま、こいつ。

俺に構うな。そんなことしてたら…!

案の定。

「っ!!馬鹿、シルナ!後ろだ!」

「!?」

シルナの背後から、再び巨大りんご砲が発射された。

俺は思いっきりシルナを突き飛ばし、りんご砲の射線から外した。

代わりに。

お返しとばかりに、今度は俺の土手っ腹に、りんご砲が着弾した。
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