神殺しのクロノスタシスⅣ
…安心…したのは良いんだけど。

結局、あの後どうなったんだ?

如何せん俺には、白雪姫のりんご砲に苦戦していたところまでしか、記憶がない。

その後は?

「シルナ…。白雪姫はどうなった?」

皆落ち着いているから、未だに大暴れしているところです、ってことはないだろうが。

「白雪姫は…あの通りだよ」

シルナが、白い棺桶を指差した。

棺桶の中には、固く目を閉じた白雪姫がいて。

また両手で空っぽの瓶を握って、眠りについている。

…あいつ…また寝たのか。

「誰が、やったんだ…?」

俺、また「前の」俺になってたんだろう?

あいつが…俺やシルナの敵相手に、容赦してくれるとは思えないが…。

「正しい方法で眠らせた。二十音が手伝ってくれたんだよ」

と、シルナが説明した。

正しい方法…。

…そういや、倒し方があるとか言ってたな…。朧気に覚えている。

「童話の白雪姫は、毒りんごを食べて眠ってしまうでしょう?それと同じで…この『白雪姫と七人の小人』も、毒を飲ませると眠りにつくんだ」

そんな…。そんな方法があったのか。

…それはもっと早く知っていたかった。

まぁ、知っていたとしても…りんご砲を防げたかと言えば、それはまた別の話だが…。

「昔故郷で白雪姫が暴走したときも、そうやって眠らせたそうだ」

そう…だったのか。

童話を倣うなら…毒を飲ませる…と言うか。

毒りんごを食べさせることで、白雪姫は眠りにつく。

理屈には適ってるが、それを実行するのは大変だったらしいな。

「前の」俺が出てくるくらいなのだから。

…ともかく。

「白雪姫は、もう寝たんだろ?」

「うん、寝たね」

で、その白雪姫に付き従う、忌々しい七人の小人も、棺桶の中に帰っていった。

ならば、もう。

『白雪姫と七人の小人』騒動は、これでおしまいだ。

「もう二度と、この世に出てくることがないように…。深く封印してくれ」

こんな騒動は、二度と御免だ。
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