神殺しのクロノスタシスⅣ
ようやく、学院長室に静寂が戻った。

「…で、ようやくガキ共がいなくなった訳だが」

「早速読みたいところですが…もうすぐ授業ですね」

「あぁ…」

今からこれを熟読して、論議を交わすには、時間が足りない。

その前に、生徒の授業を見なくては。

そろそろ一時間目が始まってしまう。

「では、コピーして皆さんに配布しますので、それぞれ時間のあるときに、読んでおいてください」

と、イレースが提案した。

「…そうするしかなさそうだな」

「それから、分かっているとは思いますが、決して生徒の目に映る場所には置かないこと」

「分かってるよ」

令月とすぐりは、もう見せちゃった、って言うか持ってきた張本人だから、仕方ないにしても。

他の生徒には、決して見せてはいけない。

魔導師排斥論者の主義主張は、イーニシュフェルト魔導学院にいる生徒達全員を、否定するようなものなのだから。

「…それから」

イレースが、キッとシルナを睨んだ。

怖っ。

「まかり間違っても、この貴重な資料を鼻紙代わりにはしないこと…。分かっていますね…?」

「も、勿論です…はい…」

シルナ、ガクブル。

次、この資料を粗末に扱うことがあれば。

今度こそ、ファラリスの雄牛、校内初の犠牲者が出るな。
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