神殺しのクロノスタシスⅣ
放課後。

俺達教師陣は、再び学院長室に集結していた。

各々、今日中に読んだであろう、『サンクチュアリ』新聞の感想について、互いに議論を交わす為だ。

だが、その前に。

俺は、用具室からもってきた脚立を、部屋の中央に置き。

その脚立に登って、奴らが勝手に開けたであろう、天井の板を持ち上げた。

「お前ら!また潜んでるんじゃないだろうな!」

俺は天井裏に首を出して、そう叫んだ。

有言実行して、一応ネズミ捕りは仕掛けたものの。

元々、ネズミ捕りくらいでどうこうされる奴らではなく。

凝りもせず、また盗み聞きしてるのではないかと、先に天井裏を確認した。

すると、そこには案の定…。

…とは、行かず。

意外なことに、天井裏は全くの無人だった。

あれ?誰もいねぇ。

俺が仕掛けたネズミ捕りだけが、ポツンと置いてあるだけ。

絶対いると思ってたから、めちゃくちゃ拍子抜けなんだが。

いや、良いことなんだけど。潜んでないのはとても良いことなんだけど。

あれだけしつこく、盗み聞きを繰り返していた奴らが。

いきなりいなくなると、やっぱりちょっとびっくりするよな。

「意外なことに、あいつらいないぞ」

「園芸部の方に行ったのかな?」

と、シルナ。

あぁ、そうかも。

それなら良いんだよ。卒業するまで一生そうしてろ。

「丁度良い。あいつらが活性化する日没を迎える前に、早いとこ話し合おう」

「そうだね」

鬼の居ぬ間に、じゃないが。

子供の居ない間に、大人の話し合いをしてしまおう。
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