ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜4
「おはよう」

 青弓亭に最後に登場したのは、クールな黒豹であるヴォラットだ。
 艶やかな黒髪を持つ美形青年の彼は、スカイヴェン国の宰相の三男であり、子どもの頃から王宮に出入りしていた。そして、ルディこと、カルディフェン・ラーダ・スカイヴェン第一王子の幼なじみである彼は、今も同じ王都警備隊に所属していて、ルディの気のおけない友人兼お目付役のような位置にいる。

 今はクールな黒豹青年なのだが、子どもの頃はルディと一緒にかなりやんちゃなことをして、ギルバート前国王からかなりの数のゲンコツをもらっていた。
 だが、いたずら坊主の彼らが一番震え上がったのは、サランティーナ王妃が遠くの海から取り寄せた海老にレースをさせて遊び、ダメにしてしまった時であったという。

「まあ、わたくしの海老さんが……」

 静かに怒る美しき王妃は、わざわざ取り寄せた好物の無惨な最後を悲しげに見るとハサミを持ち、「海老さんは美味しくいただくものであって、遊び戯れるものではないのよ……わたくしの美味しい海老さんの敵討ちに……少しチョキチョキして差し上げようかしら……」と、逃げるふたりをどこまでも追いかけてきた。
 必死で逃げ回り、とうとう底冷えするような笑顔に捕まって、頭の毛ををトラ刈りにされてしまったふたりの心にはトラウマが植え付けられた。今も海老という言葉を聞くと、無意識に頭に手をやってしまう。そんなふたりは「あの人だけは敵にまわさないようにしよう」と誓い合ったという。
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